『書棚』 平然と車内で化粧する脳 / 澤口俊之、南伸坊

昨日の毎日新聞記事より

化粧めぐり口論、電車に接触させる容疑で女逮捕、女性は重傷

 地下鉄のホームで口論になったお年寄りを電車に接触させ重傷を負わせたとして、渋谷署は27日、目黒区大橋1、バー従業員、小田島晃生(あきみ)容疑者(22)を傷害容疑で逮捕した。小田島容疑者は「パフで顔の汗をふいていたら、『そんな所で化粧なんかしてるんじゃないわよ』と言われた。説明しようと追いかけて肩を揺さぶった」と供述しているという。

 調べでは、小田島容疑者は同日午前11時35分ごろ、渋谷区広尾5の東京メトロ日比谷線広尾駅の上りホームで、ベンチに座り化粧用のパフで顔をはたいていたことを川崎市に住む無職の女性(65)に注意されて立腹。女性を追いかけ、後ろから肩を数回揺さぶり、ホームに進入した中目黒発北千住行き普通電車(8両編成)の先頭車両に接触させて胸の骨を折るなどの重傷を負わせた疑い。

 電車は減速中で、運転士が女性に気づき急ブレーキをかけたため、接触時は時速約35キロだった。電車の運行に影響はなかった。

※今の65歳をお年寄りと呼ぶには、なんか違和感があるが。

※パフで顔の汗を拭いたら、ファンデーションがよれてまだらになる。
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平然と車内で化粧する脳


澤口 俊之 南 伸坊
扶桑社
スコア選択: ★★★


人前でイチャつく、所かまわずしゃがみ込む…激増する不可解な若者たち。すべては、モンゴロイド日本人の「脳の進化」に逆らった生活と子育てが原因だった! 脳科学から日本を見た激しく納得の大結論。脳科学の鬼才・沢口俊之にプロのおちこぼれ生徒南伸坊が聞いた最新の脳科学講義。


私はけっこう面白く読んだ。
難解な内容も、南伸坊にかかるとぐっと身近な内容になって、
サブカル的な一冊として捉えれば、
ま、こんなもんかナ・・・だ。

しかし、これに真っ向から噛み付いたのが山形浩生で、
こんな書評をものしている。


 科学を濫用してがさつに社会に適用したひどい本(by 山形浩生  

 なにが恥かは、社会や文化によってちがう。電車の中で化粧をする人は、いままでの日本社会とは恥の感覚はちがうけれど、でも恥はちゃんと知っている。電車にのっていった先で会う人たちの前だと、化粧してないと恥ずかしいと思うから化粧するわけだ。

 それを著者は、生物学的に脳が未発達だから恥の感覚がないのだ、と決めつける。恥を知らないやつが化粧しますかいな。恥の現れ方がちがうだけだよ。ヒッピーやパンクスだって、それまでの社会常識からすれば恥知らずだけれど、別に恥という概念そのものを知らなかったわけじゃない。いまだって話は同じだ。

 著者は、「知性の脳構造と進化」などで優れた業績を持った科学者ではある。でも、それを社会の現象にここまで安易になんの実証もなく適用してしまうとは唖然。そしてそれを元に著者は、体罰を強化しろとか、戸塚ヨットスクールはすばらしいとか、そこらのおっさんの教育談義みたいなヨタ話を得意げに展開してみせる。気をつけないと、「恥知らずは脳障害だ」とかいって新しい差別や優生学めいた議論を肯定するのに使われちゃう可能性だってある。この上にある安原顕の書評は、いかにこういう議論がお手軽に暴論の肯定に使われるかを、実に見事に示しちゃっている。

科学の 安易な通俗的濫用の見本として、反面教師的にとらえるべき本。読むなら、鵜呑みにしないで、疑いながら読んでほしい。


>読むなら、鵜呑みにしないで・・・

そうそう。すべからく本というものは、鵜呑みにはできない。
いつもそうした姿勢で、私は本と対峙しちょります。
確かに、澤口教授はもっと実証を積むべきでしょう。
しかし、脳云々を別にすれば、
かなり本質をついている本だよ。


通勤電車と無縁な生活をはじめて18年になる。
それでも、帰国したとき電車に腰をおろすこともあって、
(ちょっと古いが)アッと驚く為五郎~
いやでもいろいろなことが目に入ってしまう。

折りたたんだ大型の鏡を堂々と広げて一から化粧をする若い女。
だらしがないねぇ!
わけありの男にだって、
素顔は見せても、化粧しているところは見せないもんだ。

同じように若い男。
今しもコンビニで仕入れたばかりのパンとペットボトルの飲み物を、
あほんだらな顔して、交互に口へ運んでいる。

彼らにとって周囲の乗客はいないも同然で、
隣の座席との間には見えざる壁が存在しているのか?

周りに見られているという意識はないんだろーから、
恥じ入るという感情も滲み出てくることは無いのだろう。

これは周りを気にしないのではなく、
気にできないのだと気づくと事の深刻さに愕然とする。


しかし、このように見えない壁を作れるのは、
若者の特権かと思っていたが、決してそうではない。

中年の男がすばやく鞄から、
アルミホイルに包まれたおにぎりを取り出し、
つり革につかまりながら食べ始めたのを目撃した。
なんと驚くなかれ「香の物」つきである。

この用意周到さから察するに間違いなく計画的犯行であろう。
まさに車中でのテロ行為だ。
さすがに向こう隣の男性はいやな顔を最大にアピールしていたが、
当のあほんだら中年男はなんのてらいもなく涼しい顔であった。

常識とは何か?と真顔で問われると答えに窮することは確かだ。
しかし、社会の基盤が「人」である以上、
年月をかけて培ってきた「人のありよう」は、まさに常識なのである。

なにが恥かは、社会や文化によってちがう。電車の中で化粧をする人は、いままでの日本社会とは恥の感覚はちがうけれど、でも恥はちゃんと知っている。電車にのっていった先で会う人たちの前だと、化粧してないと恥ずかしいと思うから化粧するわけだ。
 

と山形浩生は言うけれど、
公共の乗り物の中、そこには一つのエチケットというものがある。
ハワイのバスは、飲食禁止が明文化されていて、
禁を侵した者は、ドライバーがキック・アウトしていいことになっているが、
そんなバカッチョはめったにいない。

一度、ヨーグルトを食べ始めたハイスクールの女の子がいて、
すぐさま、白人のおばちゃんが注意したら、
その子は素直に謝って途中下車したのを目撃したことがある。

誰の言葉か忘れたが、
人の自由とは己を抑制できるものにだけ与えられるものである
肝に命じておきたい言葉だ。

本場アメリカでは公の場での立ち居振る舞いと個人主義は、
きちんと使い分けられている。


蛇足ながら、
わが友・スティーヴンに懇願されて、
たった一度だけ化粧のプロセスを見せたことがある。


感想は、




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 マイケル・ジャクソン!



あちち・・・
やっぱり、見せるんじゃなかった。
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by leilan | 2005-04-29 07:19 | 書棚
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