よくわかんないエナジー(Energy)

さっき、百合さんから電話が入った。

今度の新しいドクターは、
彼女が真性のうつ病であることを認めたと、
それは満足そうなのだ。
電話の向こうにいる彼女は、
b0048657_9554220.jpg「よくわかんないエナジー」に満ち溢れて、
うつ病というよりも、むしろ躁病のそれに近い。

分厚い「家庭の医学」を手元に置いて、
いつも病気探しをしている百合さんなのだ。
そういうときの彼女は、
どうも「よくわかんないエナジー」に満ち溢れている。
そして、自分のやる気のなさはうつ病ゆえ、
これが、ここ数年における彼女の重要テーマなのだ。


b0048657_9393828.gif高橋秀実著 『トラウマの国』という興味深い本がある。

日産自動車の社長に、ごぞんじカルロス・ゴーンが就任して以来、英語が社内の公式共通語となった話は、「よくわかんないエナジー」が横溢している。

ルノー社から日本へ赴任してきたのは部長クラスが40数名にすぎないのに、社内文書や会議など、ひとりでも非日本人がかかわる場面では英語を使わなければならない。


部署の長が外国人になれば、
オフィスでの新人紹介や宴会の司会まで英語である。
車の運転手さん、社内食堂のおばさんに至るまで、
突然、英語を使うなければならなくなる。
これでは、泳げないのにプールに突き落とされた感じだろう。

b0048657_9402370.jpg社員は一人残らず英語の試験を受けさせられ、
成績に応じてクラス分けが行われる。
部下の目が気になる管理職や年輩の社員は、
こっそりNOVAに駅前留学である。

なんか凄まじい話だ。
ルノー社から赴任してきた、たった40人のために、
全社員がそこまで英語を勉強する必要があるのか。
とにかくここにも「よくわかんないエナジー」が
充溢しているのだ。

セラピーに通ってトラウマを見つけて安心する人たち、
余裕のない生活で疲れている子供たち、
ゆとり教育と学力向上の狭間で喘ぐ子供たち、
資格試験に活路を見出そうとする人たち、
ユーモア学校に入ったのに余計に笑いを見失った人たち、
過激なセックス本に狂奔する女性たち、
ユートピアと信じて田舎暮らしを始めたがあてはずれの中高年、
ビジネス英語に精を出す人たち、
さっぱり機能してない地域通貨に引き回される人たち、
ドメスティックバイオレンスに悩む妻(夫)、
やわらか路線に変わった日本共産党、
自分史を書くために苦労する人たち、

こうした「よくわかんないエナジー」に満ちあふれた人々の話を読むと、
日本はやっぱり「トラウマの国」になってしまったのか、と思う。

これは余談だが、外からわが祖国を見つめていて、
「よくわかんないエナジー」の最たるものはゴミ出しだ。

実家に帰って、缶ビールを飲んでると、
ゴミ分別知識ゼロのおばちゃんを姪っ子が甲斐甲斐しくサポートしてくれる。
おばちゃんはゴミの分別に関して完全に浦島太郎状態なのだ。

家族全員、とにかくチビの甥っ子までがゴミを何種類にも分別している。
うちは親子三代同居で、今時は大家族の部類に入るから、
ゴミ出しもみんなで手分けしてやっているが、
単身者や、家族全員忙しく働いている人々にとって、
あの異常な分別、ゴミ出し指定日の煩雑さは大変なことだろう。
出張が断続的にあったりしたら1ヶ月も出せないゴミがでる。

しかし「よくわかんないエナジー」に燃えてせっせと分別しても、
日本のゴミの8割は焼却している。
じつに馬鹿らしい。
環境問題のためにという理想だけはしっかりしているが、
きれいごとだけではなく、事実をしっかり見ることも大切だ。

そしてリサイクルが行われ、それが環境を改善するなら、
結局のところ税金が減らなければならないし、
デポジット制が環境に良いなら、
それはペットボトルやビールの値段が下がるはずなのだ。

日本では「見えざる手」ではない環境運動が起った。
環境に関して理想を唱え、
「みんなで環境を守りましょう」という大合唱をする。

それがある程度行き渡った頃にリサイクルやゴミゼロという運動を始める。
運動をする多くの人は真面目だが、中枢は違う。
苦労して実施することでその見返りを求めるのが「見えざる手」である。

だから、企業や政府が行う環境とは環境そのものではなく、
その背景に「生産増」「雇用確保」が見え、
リサイクルがかえって資源の浪費を増やし、
ゴミを増やすことが判っても、その動きを止めることはできない。
リサイクルを止めるということは消費を縮小することであり、
それは企業や政府の意図とは異なる。

まったく、なんのために複雑な分別をやってんだか。
「よくわかんないエナジー」に翻弄される真面目な日本人を、
よくもまあ、うまいことくすぐったもんだと思う。

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                ヤマトくん(童貞歴更新中)
                  
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by leilan | 2005-06-01 14:51 | 浮世草子
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