『俳句』  梔子(くちなし)や許すばかりの恋もあり

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            梔子や許すばかりの恋もあり  麗蘭





「おや、今日の香水は何?」

下着の内側のわずかな香りを話の糸口にする、
80歳を超えたと思われる老紳士。

「夜間飛行です」

と答えると、

「ああ、昔、" 西班牙の夜 " という香水がありましたよ。
だいたい「夜」という言葉はどこの国の言葉でも、
それぞれに暗さと甘さがあっていいものだね。
なかでもスペイン語のLA NOCHE(ラ ノーチエ)が一番語感がいい」

コンドミニアムのエレベーターでの会話だ。

老紳士は独り身で、かつてはジゴロの生活をしていた。
豪華客船で貴婦人のダンスの相手をして、生計を立てていたらしい。
世の中、いろんな仕事があるもんだな、と感心する。

女性にやさしくて、西洋流のマナーが身についた老紳士は、
女の年齢を決して話題にしない。

あるとき、ハレクラニホテルのロビーでばったりお会いして、
ちょっとお茶でも、ということになった。
そこに、悪友のジンバブエ・ベア子がやって来て、
彼女は少し話して、仕事に戻っていった。

「私は、彼女よりも先に生まれております」

と言ったら老紳士は少しはにかまれて、
それから、ゆっくりテーブルの上に指で右から左へ一本、
年表を思わせるような線をお引きになると、

「先、ということは、あと、ということね?」

こうでなくては、
西洋のジゴロにはなれないのかもしれない。
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by leilan | 2005-08-17 06:15 | 俳句
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