『俳句』  八月の潮騒われをしなわせる

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           八月の潮騒われをしなわせる  麗蘭








現代の政治は、間違いなく劇場化している。
それは日本もアメリカも同じことである。

劇を盛り上げる要素が少ないと、
エンターテインメントとしては面白くない。
だから今回の騒動は、メディアにとってはうってつけだろう。

かつて、マクルハーンは名著「アンダスタンディング・メディア」で、
テレビを冷たいミッテルと評した。
これは、われわれの常識からすれば意外だったが、
テレビというもので実情を写すために、
かえって熱狂が起こらないという意見だった。

たとえば、ケネディ暗殺の場面はたまたまテレビの実況放送中で、
われわれは画面にはっきり写った瞬間を目の当たりにしていた。
もしこれがラジオで、言葉だけで伝えられたら、
全米で暴動が起こっていたかもしれないと言っている。
実際に状況を見ているから、何も起こらなかったというわけだ。

しかし、「アンダスタンディング・メディア」から40年以上の歳月が流れ、
現代文明は情報産業の作り出すブラウン管上の外界から、
適度に熱せられているのは事実である。

メディアが「刺客」とか何とか言いながら懸命に騒動を煽り、
大衆がそれに乗り始めた。

かつてヒットラーは演説で大衆の心を掴んだが、
日本人は演説で話される言葉に対しては、もともと警戒感がある。
言葉を鵜呑みにしないところがあるし、
言葉で押し通す人を理屈っぽいと言って煙たがるところがある。

無口でちょっとドジで、照れ笑いしている方が、誠実な印象を受ける。
そういう人を可愛いというおばさんは多い。
小泉純一郎は、愚直さと可愛さの両方を使い分けているが、
岡田克也にはその芸がない。

それにしても、日本人は、
筋書きのはっきりしているドラマに対してはまるで警戒感がなく、
コロッと感情移入してしまう。

裏切られたり迫害された人間が、
復讐の為の戦いを仕掛けるなどというのは大好きだ。

決して好戦的に見えないのだけれど、サムライ劇は大好きだし、
企業活動を見ればわかるように、いざ戦うとなれば容赦なく強い。

その強さの秘密は、感情の統一にあるのではないかと時々思うことがある。

肉体的に暴力的ではないけれど、
感情移入が集まった時のファナティックな群衆心理は、
実に大きな支配力を発揮する。

そうした状態になると、突然、反対のことを言いにくい雰囲気になる。
それは、ロジックよりもその場の雰囲気が尊重されるからだろう。

ケチをつけて、波風を立ててはならない。
それは太平洋戦争の時にかぎらず、
今も日本人の根っこにある性向だと思う。





選挙までまだ一ヶ月もあり、
その間になにが起こるのかわからないから、
選挙結果の予想ができる状況ではないのだが、
参院で郵政民営化法案が否決されて自民党が分裂したように、
今回の選挙で民主党が惨敗すれば、民主党は分裂すると思う。

民主党内は、小澤一郎、鳩山由紀夫、菅直人、横路孝弘と、
主だった顔を並べても片手に余るほどのグループが実在して、
その政治的スタンスがまったくちがう。
いわば、55年体制を党内に封じ込めたような体質をもった政党だが、
どこかで左右の境界線を引いて分裂するのだろうと思う。

いまの自民党の騒動を見ても感じるのだが、
そのときに、なまじ過去のしがらみにとらわれているから、
一法案の帰趨に有能な政治家の政治生命が同調してしまう。

もう少し高い位置から、これを収拾すれば、
岡田克也も党首になった歴史的意義が残るのだろう。
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by leilan | 2005-08-18 06:10 | 俳句
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