『俳句』  貨物船通る岬の花カンナ

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             貨物船通る岬の花カンナ  麗蘭








美食倶楽部
b0048657_14201038.gif谷崎潤一郎は「陰翳礼賛」の中に、「うぞうすい」で有名な京都の「わらじや」をあげ、古風な燭台を使っていた頃のこの店の情緒を讃えていた。

その文章は、食べることよりも、ぼんやりとした薄明かりの中の漆器の美しさ、そして食べものとうつわの取りあわせを語ることが主意だった。谷崎といえば、まず「陰翳礼賛」を思い出すのは、それがあまりにも印象につよく残っているせいであろう。

谷崎の味覚そのものを主題とした作品に、大正8年、大阪朝日新聞に連載された「美食倶楽部」がある。

これは、いかにも初期の谷崎ごのみの
濃厚怪奇な味わいを十分発揮したもので、
谷崎の「悪魔主義の文学」とよばれる時期のデカダンス文学である。

例によって、涎(よだれ)と唾(つば)という、
谷崎ごのみの二大宗がフルに動員されて活躍する。
これに谷崎の耽美的で頽廃的な・・なんて評論家風に論ずるよりも、、
一言で言えば谷崎の怪しい支那趣味がスゴイんじゃ(笑)

しかし、食欲の核心に深く広くはびこるのは、
つまるところ想像力なのだという洞察と表現は見事だ。

美食倶楽部は、クラブといっても会員は5人しかいない。
財力と無駄な時間を人一倍余計に持ち、
突飛な想像力と機知に富んだいちばん年の若い貴公子
G伯爵を会長格とする彼らは、
東京の町中にある料理屋、
赤坂の三河屋、浜町の錦水、田端の自笑軒などを食い荒らした挙句、
ある会員などは銀座4丁目の夜店に出ている今川焼きの
美味発見の功を誇り顔に会員一同へ披露したりする。

そんな素朴な一般的美味追求から、
一転して奇々怪々な官能的味覚の地獄、極楽の、
幻想的詳細が綿々と綴られるのである。

ある日、G伯爵は牛が淵公園に近い堀端の闇で胡弓の音を聴き、
その音に誘われて路地裏に入ると、
美味芳香につつまれたとある家で、
中国の人たちの美食会にめぐりあう。

伯爵の熱意にほだされた会員の一人の密かな好意で、
彼は阿片を吸う秘密の部屋の穴から、
この世のものとも思えぬ美食会の一部始終を眺めることができた。
それ以後の伯爵の美食会の内容の詳細がこの物語の眼目である。

「火腿白菜」の描写が最も不思議である。
若い女の手で会員は顔中をマッサージされ、
いつかその女の指は口中に入り、
ぬるぬるした唾吐(つばき)にまみれた指そのものが、
指だか白菜の茎だかわからないどろどろしたものになって、
美味の局地において会員の陶酔を誘うといった具合で、
その濃厚な描写は詳細をきわめるのである。

女体を包む天ぷらのころもを味わう「高麗女肉」という料理に至っては、
性的というよりもすでに性そのものであった。

高麗とは支那料理の天ぷらを意味するので、
豚の天ぷらのことを普通高麗と称している。
然るに高麗女肉と言えば支那料理風の解釈に従うと、
女肉の天ぷらでなければならない。
献立の中から此の料理の名を見付け出した会員たちの好奇心が、
どれ程盛んに煽られるかは推量するに難からぬ所であろう。

さて、その料理は皿に盛ってあるものでもなく、
碗に湛えられてあるものでもない。
其れは一枚の素敵に大きな、
ぽつぽつと湯気の立ち昇るタオルに包まれて、
三人のボーイに恭(うやうやし)く担がれながら、
食卓の中央に運び込まれる。
タオルの中には支那風の仙女の装いをした一人の美姫(びき)が、
華やかに笑いながら横たわっているのである。
彼女の全身に纏わっている神々しい羅綾の衣は、
一見すると精巧な白地の緞子かと思われるけれど、
実は其れが悉く天ぷらのころもから出来上がっている。
そうして此の料理の場合には、
会員たちはただ女肉の外に付いている衣だけを味わうのである。

ちょっと、怖い食卓 Terrible Table の趣きもありますね(笑)



■選挙ネタ

今回の選挙におけるイシューがはっきりした感がある。

改革の手順と改革を急ぐのか否か

人口が減少する今後の日本が、
今までの体制でやっていける訳がないんです。
確実に行政コスト倒れになる。

郵政もそう。
2050年の人口8000万人の日本が、
26万人の郵政公務員を抱えられるはずがない。
国民もそれはよく分かっていて、
「郵政民営化」には賛成する人が多い。

問題は、「小さな政府」の選択肢は当然として、それを実現するスピードです。
小泉さんは急いでいる。
綿貫さんも亀井さんもいずれそうしなければならないと
本音の部分では考えてはいるのだろうが、
「急ぐ必要はない」と考えている。

急がなければなりませんよ。
年金、社会保障など、日本が再設計を必要としている改革、
それを進める大前提は、「日本経済の活力維持」です。
それには、肥大化しがちな官業をなるべく民業にする必要がある。
郵政はその一環でしかない。

スピードは重要な選択肢です。
企業は90年代に嫌と言うほどそれを味わった。

Fast Eats Slow

日本はスローではいけない、と私は思う。
食事はスローでもいい。
しかし、改革はスローではいかん。


■Notice

今日から一週間、New York へ行って来ます。
その間、ブログを休載させていただきます。

See You Again!
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by leilan | 2005-08-22 06:42 | 俳句
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