『俳句』  寝返へれば月光われを晒しけり

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           寝返へれば月光われを晒しけり  麗蘭





選挙中の政治家は、
立っているものには電信柱にでも
つい握手の手を差し出してしまうという。
そういえば古くからの友人なのに、
立候補したとたん
うちの犬にまで「よろしく」なんて手を差し出した人がいた。

どうやら政治家にとって、
握手を典型とするスキンシップは、
選挙民の心をとらえるために
欠くべからざるものであるらしい。

この前の選挙でも、
wnm さんとしんいちろうさんが熱い眼差しを向けておられた
才媛・佐藤ゆかりも両手で選挙民の手を握り締めていたが、
好感が持てたのは、
彼女が一人一人の目を見つめながら握手していたことだった。
田中真紀子なんて相手の目なんか見てないものね(笑)

ところで、もう20年も前になろうか、
ある会合の後の茶話会で、
私は自民党の故・渡辺美智雄氏の隣に坐ったことがある。

当時の渡辺さんは、
その栃木弁の素朴な語り口もあって独特の人気があった。
しかし、そのもう一つの特技が、
握手というかスキンシップというか、
「触ること」だということを、
私は知らなかった。

話が熱を帯びるにつれ、
渡辺さんの額にはポマードがとけて、
幾本かの筋となって流れ出した、かと思うや、
私の肩を叩く、
引き寄せる、
手を取る、
膝に触る、
といった特技の連続技に入ろうとなさる。

で、びっくりしたクラシックなねーちゃんの私が、
そのたびに身を引くと、
ついに渡辺さんが言った台詞がよかった。

「まあいいじゃねえか、なあ?」

それから幾歳月がたち、
私は所用でシカゴに行った。
ところが予約していたホテルがダブルブッキングで、
普通の(スィートなんかじゃない)部屋が空いていない。
こんな有名ホテルなのにと、文句の一つも言おうとしたら、
マネージャーらしき人物が出て来て、
特別にペントハウスをご用意します、とのこと。

「その部屋は、つい前日まで日本の政治家
ミチオ・ワタナベがお泊りになっていました」

当時、渡辺さんが不治の病に侵されていたことは周知の事実だったが、
氏は病をおして訪米されていたようだった。

その夜私は、
あの昔の「まあいいじゃねえか、なあ?」を思い出した。
ちょっと哀しく、でもどこか温かな思いが、
じんわりと胸に広がった。

今の私ならば、
「実はシカゴで渡辺美智雄さんとベッドをご一緒しまして」
ぐらいの冗談も言えるのだが・・・。
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by leilan | 2005-09-19 12:51 | 俳句
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