人気ブログランキング | 話題のタグを見る


『俳句』  空き瓶にコスモス細く無縁墓

『俳句』  空き瓶にコスモス細く無縁墓_b0048657_18254719.jpg

            空き瓶にコスモス細く無縁墓  麗蘭






「飯一念室妙觀信女」

その横には、天保4年(日にちは摩滅して不明)とある。

天保4年(1833年)といえば天保の飢饉がはじまった年だ。
この年から約5年間、
気候不順による慢性的な凶作が続いて、
全国的な大飢饉となったのである。

特にこの天保4年は大凶作だった。
この墓碑の年号は天保の飢饉のはじまりと一致している。

この写真は、
数年前に帰国した折に秋田県の乳頭温泉に出掛け、
その近在で写して来たものの一枚である。

お寺の和尚さんに聞くと、
墓碑の戒名はたまに本人の意向でつける場合があるが、
ほとんどはお寺でつけるそうである。

この「飯一念」とは、
「飯を食べたいと深く思う」という意味だろう。

想像するに、
この信女は飢餓に苦しみながら死んでいったのであろう。
哀れに思った和尚がこのような戒名をつくり弔ったのではないか。

草葉の陰にひっそりと忘れられた墓碑にも、
歴史の事実が刻まれている。

しばし頭を垂れ、その墓碑の前にたたずんだ。

その隣には、
「無学妙為信女」
寛政八辰年十一月十四日の墓碑があった。

これは「無学であるがすぐれたことをなす」という意味であろう。
by leilan | 2005-10-02 23:18 | 俳句
<< 気ままにB級グルメ『布哇食堂』... 『俳句』  酔芙蓉夢見る頃のと... >>


バッカスの神さまに愛されたい

by leilan
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31