『俳句』  大根引あいま妹(いもと)は股覗き

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            大根引あいま妹(いもと)は股覗き  麗蘭



■妹はおりませんが、悪しからず(笑)



以前、コメント欄でしんいちろうさんと遣り取りした「国家の罠」が、
毎日出版文化賞の特別賞に選ばれた。

正直なところ、新聞社がこの作品に賞を与えたのは意外だった。

外務省のラスプーチンと言われた佐藤優は、
容疑を全面的に否定したため512日間も拘留される。
とても、考えられない拘束時間。権力の暴挙である。
しかし、新聞社をはじめマスメディアは検察の味方に立った。
新聞社は今でも、総じて検察側である。

さらには、小泉内閣にとって「嫌な存在」である佐藤優に、
この賞を与える「危険」を商業新聞が犯すとも思えなかった。

この本、読まれていない方もいると思いますので、
簡単に筆者と作品を紹介しますと、

  佐藤 優 1960年埼玉県生まれ。
  同志社大学大学院神学研究科修了の後、外務省入省。
  在英国日本国大使館、ロシア連邦日本国大使館に勤務した後、
  外務本省国際情報局分析第一課に勤務。
  主任分析官として活躍していたが‥・
  例のムネオ事件で背任と偽計業務妨害容疑で逮捕された。

「権力の罠」は、この512日間を克明に書き綴ったものだ。
御身大事な高級官僚の姿が鮮明に描かれている。

はっきり言って、いろいろ考えさせられる本だ。
出てくる単語もまた刺激的。
「国策捜査」、「作られた疑惑」、「時代のけじめ」など。

文章を読むとよく判るが、佐藤優は優秀だしブリリアントだ。
外交ばかりでなく、法律にも詳しい。記憶力も抜群だ。

自分が関わった対露外交、外務省がらみの一連の事件は、
「時代のけじめ」を作るために
「作られた疑惑」に基づいて行われた
「国策捜査」であり、
佐藤優のみならず鈴木宗男もその犠牲になったと主張する。

この本を読んだ人間には、
彼がこの本で主張することが100%正しいのかどうかは分からない。
私もそうです。何せ現場にいないのだから。全容が見えない。

おそらく著者も主張しているとおり、
真実のかなりの部分が出てくるのは、
すべての文書・書類が公開される2030年前後になってからだろう。

しかし、それを待たなくてもこの本は読む価値があると思う。

それは日本の特に政治がらみの事件が、
しばしばどのような意図で発生し、
捜査当局、またはその背後にいる政治主体が何を考えているのか、
透けて見えてくる面があるからだ。

確かに日本の戦後の大きな政治捜査は、
時代に区切りを作ってきた。
田中角栄、金丸信などの捜査は、
やはり時代の変わり目だったような気がする。
犯罪が先行したように見える。
しかし、そうでもない側面、その逆の面もあったのかもしれない。

この本にも書いてあるが、
日本の罪と罰の関係は、
しばしば「逮捕された事実」がマスコミでも大きく報道されて、
それが「罰」になってしまうケースが多い。

つまり、逮捕されたという事実が一種の判決になっていて、
被逮捕者は社会的制裁を受け、
法的な判決が出たときには世間の関心も冷めて、
マスメディアでも「もう過去の事件のことなのですが・・・」
という形で報じられることが多い。

それでいいのか、という思いはある。
三権分立の日本の司法は最後は裁判所が担っているはずなのに、
実際には捜査機構が一種の社会制裁システムになっている。

それにしても、鈴木・佐藤逮捕は、
「ケインズ型の公平分配モデル」から「ハイエク型の新自由主義モデル」へ、
外交における「地政学的国際協調主義」から「拝外主義的ナショナリズム」へ、
時代のハンドルの切り替えの中で生じたという著者の指摘は興味深いものだ。

筆者はこの二種の対比は渾然とした振り子の動きのようなもので、
鮮明に区別をすることはできないといつも思っている。

趨勢としては彼が指摘している通りだ。

しかし、振り子はいつ振り戻るのか分からない面があるし、
実際の政策はその二つの境目で採用されている。
その多少の振り子の振りの中でも、
社会が「時代のけじめ」を必要としている、
というか社会の空気が変わると言うことはあるだろうし、
金丸捜査の時などそう思えたものだ。
この問題はちょっと考えてみたいな、という気がする。

それにしても、この西村という検察官と著者のやりとりの再現は、
もし真実だとしたら鬼気迫るものがある。
読み応えのある、そして考えさせられる一冊だった。


国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて
佐藤 優 / 新潮社
ISBN : 4104752010




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by leilan | 2005-11-08 20:06 | 俳句
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