『俳句』  落葉村字日だまりの五、六人

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           落葉村字日だまりの五、六人  麗蘭






ここんところ、
土曜日というと数人から『グチ電話』の襲撃を受ける。

「ごめんね、れいさん、ちょっと聞いて・・・」とか、
「こんなこと、れいさんにしか言えない・・・」とか、
「平日はれいさんも忙しいと思って・・・」

とかとかとかとかとか!

私だって土曜日は、恥骨かがめて風呂場も洗いたいし、
あわよくば色男と逢引きもしたい!

グチ電話ばかり続くと猛烈に精気を吸いとられてしまうが、
こんなときは三波春夫『歌藝の軌跡』追悼記念2枚組CDを聴く。

一枚はベストヒット歌謡集。
そしてもう一枚が『あゝ松の廊下』『俵星玄蕃』などの歌謡浪曲集。

ベストヒット歌謡集の『チャンチキおけさ』『東京五輪音頭』
『世界の国からこんにちは』などを聴くと、
ああ、三波春夫は日本の戦後から高度成長までを
具現してきた歌手なんだなぁ、という思いを新たにするのだ。

『東京五輪音頭』と『世界の国から~』は確か競作だ。
坂本九など他の歌手も歌っていた覚えがある。
が、やはりこういう日本を代表する歌は、
三波春夫のあの突き抜けた明るさがないとダメなのだ。

『チャンチキおけさ』など、歌詞は暗く、人生負け組のソレなのに、
明るくポジティブに歌ってしまうお便所の百ワットが、
三波春夫の魅力だ。

もう四半世紀前になるけれど、
週刊読売に「シャレアップ」という駄ジャレの投稿欄があった。
私は、23歳という食べられ盛りを、
そこの常連として過ごすことにただただ夢中で、
結局、盛りを無駄に過ごしてしまった。

その「シャレアップ」百回記念に、

  100

「これを見てひと言」とあったので、

  チャンチキおけさセット


と投稿して、これが優勝しちゃった。
ひとえに三波春夫のお陰だ。

ライバルに同じ浪曲出身の村田英雄がいて、
私はこの人も好きなのだが、
三波にあって村田にないのは、
その天衣無縫の明るさと共に、類まれな器用さだ。

器用さに長ける人間は、
大抵の場合、個性に欠けるきらいがある。
しかし、三波春夫の場合は、
その器用さが逆に個性になっている凄さがあるのだ。

生前の三波春夫は、
自分の歌を他の歌手に歌われることを好まなかったという。
しかし、『一本刀土俵入り』だの『天竜しぶき笠』を、
歌いこなせる力量の歌手がそんなにいたとは思えない。

それは歌謡浪曲『俵星玄蕃』を聞くと誰しも納得するだろう。
歌謡曲、浪曲、講談 を渾然一体化させ、
そのいずれをとっても巧いのである。

そして声がよく、スケールがでかい。
もうこれは、他の誰が歌えるというようなものではない。
三波春夫の、三波春夫による、三波春夫の為の歌だ。

実は私もこの歌にはしびれて、
こっそりとマスターし、中の講談調の部分

「・・・時に元禄十五年十二月十四日、江戸の夜風をふるわせて、
響くは山鹿流儀の陣太鼓、しかも一打ち二打ち三流れ・・・」

というところや、浪曲部分の、

「かかる折しも一人の浪士が、雪を蹴立ててサク、サク、サクサクサクサク・・・
"先生!" "おお、そば屋かァ"」

などというところは一人で口ずさんでは悦に入っている。
これほど歌い手にとって気持ちのいい曲というのは滅多にあるもんじゃない。

精神障害者のセラピーをやっている人の話だと、
精神科で音楽療法を行うと、
妙に三波春夫の歌が上手い患者さんがいて、
これがたいていアル中だそうだ。何かわかる話だ。

要するに技術だけでバックに何も思い入れを入れなくていいから、
純粋に歌う快楽に中毒できるわけである、三波春夫の歌は。
分析(脳による思考)がなくても楽しめる純粋芸術が三波歌謡なのだ。

私も昔は三波春夫に興味がなかった。
ロックやGS全盛の時代の子として、
どちらかと言えば三波の歌は否定すべき過去の代表であった。

しかし、その思いがネジ伏せられたのはやはり紅白、
1975年のそれで三波が歌った『おまんた囃子』。

「北海道のお方もソレソレソレソレ、四国のお方もソレソレソレソレ、
九州のお方もソレソレソレソレ・・・」

と、若手アイドル歌手を従えて、
異星から舞い降りてきたかのごとき非現実的、
かつアーテフィシャルな笑顔で朗々と歌うその姿を見て舌を巻き、
「コレハかなわん」
と頭を垂れたのであった。

私の尊敬する日本人を二人まで挙げよと言われたら、
三波春夫とジャイアント馬場になるかもしれない、
というくらい、それからはリスペクトしている。


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by leilan | 2005-11-20 20:57 | 俳句
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