『俳句』  椅子の背にマフラー投げて午前様

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          椅子の背にマフラー投げて午前様  麗蘭






幼い頃から、どうしようもなく図画が下手だった。
提出した絵が上下逆さに掲示されたという伝説もある。

なかには、ひいきで通信簿に5をくれた先生もいたが、
図画の才能がないのは幼な心によーく判っていた。

小学生の時には夏休みに絵の宿題があったりするが、
絵の具やクレヨンを使って家で好き勝手に描いていると、
必ずと言っていいほど、
家の大人どもからツッコミが入る。

「れいちゃん、絵、下手クソだなー」

しかも、当時のわが家には鬱陶しいほど大人がいた。
小学校一年当時で、

祖父 (いつも誉めてくれる)
祖母 (率直が取り得なので、率直にけなす)
じいじい (祖父の弟・女子供にやさしいのでけなさない)
父 (はっきりとけなす)
母 (ため息を吐く)
叔母 (父の妹・祖母に似た気質なのでけなす)
叔父 (父の弟・けなしながら手伝ってくれる)
ばあや (未亡人のお手伝いさん・うそでも誉めてくれる)
クラちゃん (お手伝いさん・ケタケタ笑う)

辛らつな大人がこんなにもいる環境で育ったので、
気が強くなったんじゃないかと思っている。

当時、父から聞いた話が、今でも忘れられない。
それは父の、小学校時代の同級生の話だった。

私と父は同じ小学校を卒業している。
正確に言えば、祖父もじいじいも叔母も叔父も同じだ。

父が小学生の頃、藤原君という同級生がいた。
その藤原君は、とても絵を描くのが上手だった。
同じ小学生とは思えないような絵だったという。

父は「藤原君の絵の技術のポイントはどこなんだろう?」と、
ある時ふと思い、絵を描くところを見ることにした。

写生の時間、高い木の絵を描くことになった。
恐らくスギかイチョウか、まっすぐの高い木を見ながら描く。

その時、父は藤原君の凄さに気付いたという。
普通の小学生はみな、画用紙の下のほうに地面を描き、
画用紙の中央に一本太い幹を描き、
上方に葉っぱを描いていく。
誰もが思い描けるような、一本の高い木の絵である。
父を含め、どの生徒もそんな絵を描いていた。

しかし、藤原君は、他の小学生とは全く違っていた。
彼はその木を見上げるとまず、その木の下に座った。
そして見上げながら、
中央の幹から四方に枝が広がる様子を描いたのだった。

誰もが木を描くと必ず横から描くものなのに、
藤原君だけは下から見た絵を描いたのだ。
「こいつは技術の違いとかじゃない。センスが違う!」と、
父は改めて思ったそうだ。 

今でも毎年、父宛てに、
面白い絵が載った年賀状が藤原さんから送られてくるが、
その年賀状を見せられる度に、
藤原さんの木の絵の話を聞かされる。

でもその話を聞くと、
「人とは違う視点が重要なんだなあ」
と思ってしまう。
それが芸術なのだろう。

よく「商売は人とは違う視点が重要だ」とか言うけれど、
そのひそみにならえば、
商売と芸術には何か通じるものがあるのかもしれない。

俳句をひねりながら、
いつも藤原さんの絵の話を思い浮かべているが、
相も変わらずへなへなと、
私の俳句は低空飛行を続けている。


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5日ほど留守にしますので、
ブログをお休みさせていただきます。

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by leilan | 2005-11-30 16:57 | 俳句
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