『秀句鑑賞』
 
 あこがれはオリオンの裏側のやみ  鎌倉佐弓


夜、オリオン座が南の天高くのぼるころになると、
冬だなあという思いを強くする。

天体望遠鏡を買ってもらった小学生のとき、
将来は天文学者になりたいと夢見ていた。
星の物語であるギリシャ神話を懸命に読んだのもこのころ。

「宇宙には果てがない」ということが実感できずに、
毎晩そのことばかり考えて過ごしたこともあった。

望遠鏡のレンズがくもり、
カバーがかけっぱなしになったのはいつからだろう。

夜毎遠い宇宙に思いを馳せていた少女は、
半径10メートルのことばかりに気を取られ、
会社の人間関係に四苦八苦し、
10年後のことはおろか、
明日のことすら想像することもできない現代人になった。

オリオンの裏側の闇に憧れること、
それはもう一度宇宙について思うこと。

そして大人になった少女は、
自分が存在していることの不思議にいまさらながら気づくだろう。

(無季)
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by leilan | 2005-12-19 09:06 | 秀句鑑賞
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