『秀句鑑賞』

 初湯中黛ジユンの歌謡曲  京極杞陽

昭和44年の作。
銭湯の初湯は江戸期から二日と決まっているが、
これは元日の家庭での朝風呂だろう。

機嫌よく口をついて出てきたのは、黛ジュンの歌謡曲だった。
なぜ、歌謡曲なのか。
もちろん、昨夜見たばかりの「紅白歌合戦」の余韻からである。

曲目は「雲にのりたい」あたりだろう。

作者の京極杞陽(本名・高光)は、
明治41年、京極子爵家の長男として生まれた。
但馬・豊岡藩主十四代当主。つまり、世が世であればお殿様である。

昭和19年、教育招集に応召したときの句。

春風や但馬守は二等兵

これまた、人を食った句である。
しかも、入隊、即日除隊。なにしろ子爵京極家十四代当主である。
格好だけの入隊であったのか。
戦後、宮内省を退庁、貴族院議員に選出。

しかし、お気楽な殿様人生かと言えば、かならずしもそうとも言えない。

十五のときに関東大震災で家屋敷を焼失、両親と兄弟を一度に失った。

しかし、血はあらそえないと言おうか、
その俳句は、おっとりして、飄々、洒脱。

ホトトギス一派の懐の深さを感じさせる。

(初湯・新年)
[PR]
by leilan | 2006-01-01 06:40 | 秀句鑑賞
<< 『俳句』  新春十句 『秀句鑑賞』 >>


バッカスの神さまに愛されたい
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30