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『俳句』 忘れ得ぬ人
花嫁の荷に紅梅を一枝挿す
降る雪やいま灯りたるバーの窓
着ぶくれてわたしなんだかイースト菌
美術館がらんどうわれ独り咳(しはぶ)く
冬薔薇や煉瓦はすでに過去の色
寒北斗夜々に傾き夜々に想ふ
はちみつの秘密を舐める春隣
本名に税ふりかかる牡丹雪
北風や人恋ひ牛の長鳴ける
拘置所のたった一つの冬日窓
■花嫁の荷に紅梅を一枝挿す
この光景は今でもよく憶えている。
叔母悦子が嫁いだのは昭和39年。
当時としては遅い結婚だった。
悦子叔母は小児麻痺の後遺症で足を引き摺る。
なかなか貰い手がなかったんだと思う。
その叔母がようやく嫁ぐことになった。
トラックの荷台にタンスや鏡台がつまれたき、
うちに昔からいたばあやが、
庭の紅梅を一枝、荷の紐にそっと挿したのだった。
梅の季節になると、
ばあやのことを思い出す。
ばあやが亡くなったとき、
父は喪主の挨拶で、
「観音さまのような人でした」
と語っていた。
確かに、ばあやが怒ったり、
きりきりしている姿を見たことがなかった。
縁の薄い人で、
夫も子供も早くに失い、
決して幸せな境涯ではなかったが、
慈母観音のような人であったと思う。
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バッカスの神さまに愛されたい
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