冬終る封筒の中空色に 有馬朗人
つい先日、いただきものをしたときに、
真っ白な紙袋の中が鮮やかな空色だったことが、ちょっとうれしかった。
白い封筒は中も白、となんとなく思いこんでいる気持ちを、
ひらりとかわしてくれた。
私のお気に入りの、アメリカ『クレイン』社の封筒にも、
中が赤、青、緑、あるいはアンティークな花の絵などのものがある。
中に色がついていると、外に、少しその色が透けて見えるのがいい。
冬の印象はモノクロ、それも白が強い。
その白から、かすかに空色が透けて見えたのだ。
春が近いよ、そろそろ冬の終わりだよ、と。
(冬終る・冬)