2004年 12月 29日 ( 1 )

俳句  独りゐて狂はぬほどに年暮るる

独りゐて狂はぬほどに年暮るる

風花や水の地球に逝く哀れ

人を見ぬやうに見てをり寒鴉


母に電話すると、
津波の影響はなかったの、と心配してくれる。
どうも、母の世界地図というのは曖昧模糊としているらしい。
母のいとこには優秀な女性が多かったようで、
府立高女出身というのが未だに自慢のばーさん連もいるが、
「おかあさん、のんびりでしょ。だから私立」
と、あの人は何ら屈託がない。

もし津波警報が出たら、
おかあさんだったら、何持って逃げる?
と質問したら、
「ご先祖さまのお位牌」
という答えが、即座に返って来た。
「それが、おかあさんの大事な仕事だもの」

参った。

あの人が、そんな思いで生きていたなんて、
47年も、このボンクラ娘は気付かなかった。

それにしても、
昭和一桁生まれの女で、
ご先祖さまのお位牌を持って逃げようなんて人、
いるんだろうか?

詩人の田村隆一だったか、
あの人は晩年を鎌倉で過ごしていたが、
その鎌倉に大分譲地が出来て、
あそこには文化がない、と書いていたことがあった。

なぜかというと、
あそこには死人がいない、
仏壇がない、と言う。

やっぱり、その家で何人かが死んで、
仏壇があって、
あの乾物屋のおやじは俺の仲間で、
その角で遊んだよ、
というのに孫が出来て、
そのくらいから文化が生まれる、
というような話だったと思う。

田村隆一が語るところの文化というのは、
両親の世代には残っていても、
わたしの世代には、消滅しているだろう。

5年くらい前だったか、
帰国して、実家の台所を手伝っていたら、
姪のところに遊びに来ていた近所のガキンチョに、

「あんた、だあれ?」

と、言われちまったことがあった。
弟の嫁のカコちゃんと、
思わず吹きだしてしまったが、
実家のあたりには、
まだ昔がつながっている、
気配はかすかにある。

しかし、帰国する度に、
酒屋さんがコンビニエンスストアに変っていたり、
罹り付けの医院がなくなっていたりするのは、
寂しいものだ。
まあ、帰る実家があるだけ幸せというものか。

今日、カコちゃんからエア・メールが届いて、
甥が描いた絵と手紙が入っていた。
クリスマスプレゼントへの礼状なのだが、
絵が凄かった。

おばちゃん(わたし)が椰子の下で、
腰みのスタイルでフラダンスを踊っている、
なんとも強烈な絵!

うれしくて、涙がこぼれた。

甥は放射線治療を受けているので、
入院先の養護学校で勉強しているが、
「まいにち、たのしい」
とあって、少しホッとした。

大晦日には二泊三日で帰宅できるので、
「おばちゃんにでんわするね」
と書いてある。

おばちゃんは、大晦日が待ち遠しい。
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by leilan | 2004-12-29 21:10


バッカスの神さまに愛されたい
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