カテゴリ:浮世草子( 25 )

スイッチは自らの手でお切りなさい

b0048657_142310100.jpgジム・キャリーが主演した
The Truman Show」という映画。
1998年の映画で、観た人も多いのではないかと思う。

典型的なアメリカ市民・トゥルーマン。彼の暮らす環境は、どことなく不自然だ。それもそのはず、実は彼の人生は、TV番組「トゥルーマン・ショー」として、隠しカメラによって世界中に放送されているのだった。家族や友人を含めた、これまでの人生が全てフィクションだったと知った彼は、現実の世界への脱出を決意する。

メディアによって作られた人生の悲喜劇に、見事なリアリティを与えているジム・キャリーの熱演が光る傑作コメディだった。


幼い頃父を海で亡くして以来、トゥルーマンは水恐怖症となった。
だから、今住んでいるシーヘヴンアイランドから一度も出たことがない。

オギャーッとこの世に生まれてから24時間、365日、
正確には生まれる前からすでに世界中の注目を集めていて、
彼の一挙手一投足を世界中の人々がTVの前で見ている。
その事実を本人だけが知らず、微塵にも感じていないという、
アメリカ人が考えそうな、スゴーイ設定なのだ。

万里の長城を彷彿とさせる大セット。
(宇宙から確認できる唯一の建造物ということになっているんですね)
月の満ち欠けから朝日、夕陽、大雨晴天、大津波でさえ起こすことが可能。
そして、メインスタッフや制作者は、
セット上空に浮かぶ「月」の中に鎮座し番組をプロデュースしている。

この番組の利益は小国の国民総生産と同じくらいあるんだな、これが。
その利益を出すため、彼らは番組中でくまなくCMを流す。
ただし、CMをストーレートに流すのではなく、
番組放映中、出演者が紹介、または使用・着用して、
ついには、トゥルーマン・ショッピングなる
オンラインショッピングで世界に販売する。

ところが、ある日突然落ちて来た撮影用ライト、
死んだはずの父との再会、
時々、誰に話ているかわからないけどCM口調になる妻、
カーラジオから聞こえる自分の行動、
やっと彼は気が付くのですよ~

ラスト近く、ジム・キャリーは弾けるような笑顔で言う。
『会えない時のために「こんにちは」「こんばんわ」「おやすみ」』
それから、生まれて初めての(本当の意味での)第一歩を踏み出す。

この映画で一番記憶に残ったのは、エンディングだった。
ジム・キャリーを映し続ける映像が、なーんか面白くなくなったら、
ガードのような視聴者がチャンネルを回してしまうのだ。
これで、The End。

私にはこのエンディングが非常にうまいと感じた。


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若貴兄弟の確執が事細かに報道されている日本の様子に、
私は、この「The Truman Show」を思い出した。

生まれたときからずっと見続けられている主人公。
若貴兄弟もそうだった。
父親が人気のある力士で、その力士と結婚した女優。

最初からマスコミの眼にさらされて育った子供たち。
そして、仲の良い兄弟として喧伝され、
二人とも横綱になるという高みに達した家族。

映画の方の主人公は、
自分が見られているということを知らずに時間を過ごすわけで、
その点はかなり違う。
しかも映画は、自分の身の回りは全部俳優だったという異常な設定。
しかし、若貴兄弟の周りにも実際の俳優もいるし、
この二人もある意味で役柄を演じてきたという面がある。

そして、花田家の、いわば小説より奇なりの闇。
この二人だけの確執ならまだ回復の手だてはあるのだろうが、
その周りには取り巻きが何重にもなっている。

貴乃花には、
自分に対して連合を形成している母親と兄に対して、
言いたいことがいっぱいある。
しかし、喋れば喋るほど、
高みに達した家族の末路を取り上げたいマスコミの餌食になるという図式だ。

だから思う。
この騒動は早く情報提供者の側がスイッチを切らないと、永遠と続くと。
なぜなら、マスコミが、提供された情報を扱わないということはあり得ない。
若貴は、日本人なら昔から誰もが知っているヒーローであって、
その行く末には誰もが関心を持つからだ。
だから、若貴の方からスイッチを切らないといけない。

誰か、それを言ってあげる人はいないのか。
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by leilan | 2005-06-13 15:25 | 浮世草子

人民元切り上げを迫るアメリカ、その理由

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人民元の切り上げ問題に関して、
アメリカ連邦議会のプレッシュアーが強まっている。
これは来年の中間選挙を睨んだ動きでもあるのだが、
現在、対中国のアメリカ貿易赤字は1600億ドル。

この問題に比較的柔軟な姿勢だったスノー米財務長官が、
先月13日、米CNBCテレビのインタビューで、
対ドル相場事実上の固定に関して、
「人民元改革の時がやって来た。中国が動くことを切望している」と述べ、
直ちに変動幅を拡大するよう重ねて要請。

今週はFRBのグリーンスパン議長もアメリカの貿易赤字に触れ、
対中国貿易収支均衡の必要性を説いた

スノーの発言は、今週末の財務相会議を睨んだジャブであるし、
その先にはサミットがある。

これに対し中国は、
他の国から言われてやることではない、
という姿勢は一貫しているのだが、
貿易の最大輸出国であるアメリカを怒らせてはならない、
ということは十分判っていて、
人民元切り上げの必要性もまた認めている。

しかし、中国経済は、
日本やアメリカのような先進国型経済ではない。
中国政府が政治的に踏み切れない背景には、
人民元の切り上げが何千万という失業者を生む
労働人口プレッシュアーがある。

ところで、アメリカは盛んに、
中国との貿易収支が均衡すれば、
アメリカの抱える貿易赤字が解消されると言うが、
はたしてそうだろうか。

中国からの輸入は、例えば玩具などのような、
すでにアメリカが失った分野の産業である。
対中国の貿易収支が均衡したところで、
輸入代替はメキシコあたりに移動するだけのことだろう。
構造的になんら変わることはないのだ。

思うに、アメリカは10年、あるいは20年、30年先に、
アメリカの世界覇権に最も挑戦して来るのは
おそらく中国ではないかという読みがある。

それが中国に対する疑念となり、
人民元への声高な圧力となって今の騒動が起こっているのだろう。
貿易収支に引っ掛けた経済問題に見せかけて、
実は根の深い政治問題なのだと私は睨んでいる。
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by leilan | 2005-06-11 07:10 | 浮世草子

デトロイトの落日・・・GM会長・円安批判

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GM、さらなる工場閉鎖や人員削減


GMが発表した2万5000人の
人員削減や工場閉鎖、
アメリカでの自動車生産の
600万台から500万台への
引き下げの意味するところは、
トヨタが世界最大の
自動車メーカーになる時が
大きく前倒しされた、ということだ。

来年には、と思っていたが、
今年のうちにトヨタが
世界最大の自動車メーカーになる
可能性が強まった。





ワーゴナーGM会長、円安批判

ワーゴナーが何を言うか注目していたのですが、
円安批判にはがっかりしたな。
自分の会社の苦境をどう総括しているのか、
全く責任逃れを行っている。

アメリカの自動車アナリストから、
「売れる車がないから」
と分析されているのに、
そういう認識がないのは、
なんともこの会社の先行きに不安にならざるを得ない。

同じ気持ちだったのは株主だったようで、
経営陣を指弾する声が大きかったという。

GMにとっては、legacy cost をどうするかも大きな問題だ。
この売れる車をいかにつくるのか、という問題と、
過去の重い遺産をどう処理するかを片づけないと、
彼が言うところの「妥当な収益性」を回復するのは、
かなり難しいだろう。
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by leilan | 2005-06-10 02:02 | 浮世草子

「私は単純な奴です。弱い方に味方するんです」太宰治
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太宰治の直筆のはがき
b0048657_9442048.jpg作家太宰治が戦後間もなく、
五所川原市の親類の家に送った直筆のはがき二通が四日までに、親類の家で見つかった。
二通は、故郷での疎開生活時に世話になったことへの礼状と、五所川原大火の際の近火見舞い。太宰を長年研究する同市の木下巽教育長は「太宰は多くの書簡を書いておりそれだけで一冊の本になるが、未発見のものはほとんどないと思っていただけに貴重」と話している。

東奥日報記事より



太宰治は妻子とともに昭和20年7月28日上野を発ち、
空襲によってずたずたになった鉄道網を乗り継ぎ、
31日に故郷の金木に疎開し、8月15日の敗戦を生家で迎える。
そして翌年の11月14日に東京三鷹の家に帰っている。

今回の手紙一通は21年11月18日の消印だそうで、
太宰は東京に帰って間もなく礼状を出したことになる。
もう一通は21年11月23日の五所川原大火の後、
太宰の名で12月7日の消印で火事見舞いのはがきを出している。

敗戦を生家で迎えた太宰は戦争直後をどのように見ていたかのか、
長部日出雄氏の書いた『桜桃とキリスト、もう一つの太宰治伝』に
興味ある文章が載っている。
それは、彼が井伏鱒二に宛てた長い手紙である。

b0048657_1034261.jpg「この頃の雑誌の新型便乗のニガニガしきこと限りなく、・・・私は無頼派(リベルタン)だからこの気風に反抗し保守党に加盟し、まっさきににギロチンにかかってやろうかと思っています。

共産党なんかとは真正面から戦うつもりです。
私は単純な奴です。弱い方に味方するんです。

ジャーナリズムに踊らされて民主主義踊りなどする気はありません」


長部さんは、
「太宰は敗戦直後のジャーナリズムにおいて
賑々しく演じられる新型便乗や民主主義踊りをみて、
戦後の変革は名ばかりで、
右といえば右、左といえば左、
みんな一斉の方向に動く日本人の性質が、
戦前戦中とまったく変わっていないと見抜いていた。

自由思想家本来の精神は反抗精神と語る太宰は、
全員が同一方向に進みたがる日本人の通性とは、
右といわれれば左、左といわれれば右にいきたがる、
生来の反抗性の持ち主であった」
と分析している。

今回の2通のはがきは、
きわめて律儀な太宰の性格が伺われ面白い。

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           桜桃忌背伸びの季節よみがへり  麗蘭
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by leilan | 2005-06-08 15:01 | 浮世草子

ラムズフェルド、中国の政治体制に言及


b0048657_9235512.jpgニューヨーク・タイムズ記事より。

たまにはいいこと言うじゃないの、
ラムズフェルド!

"It would be a shame for the people of China if their government did not provide the opportunities that freer economic and political systems permit," he said, describing a tension "between the nature of their political system and the nature of their economic system."



6.4は天安門事件の日だった。
(六尺さんの28歳?のお誕生日でもあった)
中国というのは日本で報じられている以上に、
6000万党員を誇る中国共産党の一党支配の国である。
国の隅々まで党の支配が行き届いている。
政治的自由はないし、
少し反党的な動きをすると完全に監視下に置かれて発言を封じられるか、
国外追放になったり、悪いケースでは逮捕される。

13億の民を食べさせるためには、
「統一的支配が必要」と中国の支配層は言う。
鄧小平もそういう考えだった。
天安門事件のときの彼の有名な言葉はそうなっている。
確かにそういう面もあった。

しかし、それがいつまで続くというのか。
北朝鮮が両方認めていないのに対して、
中国は片方を認めて、その成果は都市では見られるが、
一方、それは恩恵にあずかれない人々の不満を増幅させる。

インドでもフランスでもオランダでも、
恩恵にあずかれない人々の不満は投票行動で示された。
中国でもし「自由な選挙」が行われたら、おそらく政権は倒れる。
しかしその次の政権の姿は見えない。
そういう意味では、中国はいつでも不安な国だ。

ラムズフェルドの記事の最初の文章は、
「Defense Secretary Donald H. Rumsfeld, arriving here today for a conference on Asian security, drew a sharp distinction between two of the region's major powers, predicting that ties with India would strengthen while urging China to let political freedom grow there along with its economy.」

つまり、同じような人口大国としてのインドとの対比を行っている。

世界最大の民主主義国家としてのインド。
最近のインドの株価と中国の株価を比較すると、
明らかにインドの株の方が流れに乗っている。
政治的体制だけの問題ではないだろうが、
私はこの点をずっと注目してきた。

それにしても、オランダでもEU憲法否決。
政治家の夢と、現実に生活する人々が直面している現実との乖離。
民主主義のプロセスとしては、国民の拒否は十分理由があり、
より多くの人の要望をどうやって取り入れるかが政治の課題である。

世界中で、経済の流れに乗れる人と、乗れない人の格差が出来てきている。
前者は夢を語る余裕があり、後者は現実に追われる。
マスコミを含めて、より注目を集めるのは前者の世界だ。
しかし、一人一人が一票を持っている世界でそうは世の中が動かない。
しばらくそういう状況が世界各国で続きそうだ。

それにしても、10億の民が一票を持つ中国、
自由に国民が投票する中国を想像するのは至難の業だ。
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by leilan | 2005-06-06 17:01 | 浮世草子

「ディープスロートは私だ」 元FBI高官自ら明かす

     
       ありし日のリチャード・ニクソン、エルヴィス・プレスリーと
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(CNN) ニクソン米大統領の辞任につながる一大政治スキャンダルとなった72年のウォーターゲート事件で、調査報道で事件を暴いたワシントンポスト紙記者たちの貴重な情報源「ディープスロート」が、当時の連邦捜査局(FBI)ナンバー2だったマーク・フェルト氏(91)だと明らかになった。月刊誌「バニティー・フェア」が31日、フェルト氏本人のインタビュー記事を掲載し、ワシントンポスト紙が同日、これを確認した。米国史と報道史に残る大事件の調査報道を裏から支えた情報源「ディープスロート」の正体については、過去30年以上にわたり全ての関係者が沈黙を守り、大きな謎となっていた。(続く)

  CNNニュース 「ディープスロートは私だ」 元FBI高官自ら明かす

  ワシントンポストFBI's No. 2 Was 'Deep Throat'


「Deep Throat」とは、
わずか6日間で撮影された制作費250万円のインディ映画が、
全米で600億円を越す興行収入を生んだと言われる伝説のポルノ映画。
あれは私が高校生の頃だから、おそらく1972年か73年、
たしかアメリカでも全開 (^m^)ゞ が認められた直後だった。
そしてウォーターゲート事件のこの通報者についても、
事件の奥底、奥まったところにいるからこの名前が付いたのだった。

b0048657_9225647.jpg1976年、「All The President's Men」という映画があった。ウッドワード役をロバート・レッドフォードが、バーンスタイン役をダスティン・ホフマンが演じ、当時まさに芳紀ただよう女子大生だった私もこの映画を観た。邦題は「大統領の陰謀」。地下駐車場で会うのです。Deep Throatと記者が。スクリーンの中で、Deep Throat は顔は見せない。スリリングな映画だった。その「Deep Throat」が「わしじゃ」と名乗り出た。もとFBIのナンバー2だったマーク・フェルト氏。彼は1974年に行われた雑誌とのインタビューで、「Deep Throatは私ではない」と否定していた。しかし当時から、「Deep Throat の有力候補」の一人だった。

フェルト氏は現在91才。
昨日になって明らかになったが、実はフェルト氏は家族にはここ2~3年、
「私が Deep Throat だ」と言っていたらしい。

「Deep Throat はヒーローか、はたまた裏切り者か・・」
これは時代の変化とともに見方が変わってきた。
最初は裏切り者との見方が強かった。
しかし最近は、ヒーローの見方が多く、
フェルト氏とその家族を代表して声明を読み上げたお孫さんも
「Hero」の単語を使っている。
まあ、この問題は暫く議論になるだろう。

死期が接近したから事実を述べた、
という単純な理由だけではないようだ。
ニューヨーク・タイムズにはフェルト氏の娘であるジョアンさんが、
「これを公表した場合に手に入るお金の問題と、
それを3人の子供の学資に充てること」に関して、
関係者と話しをしていたという事実が載っている。
まあ、いろいろあるんでしょう。

「Deep Throat とは誰か?」
これは、アメリカのジャーナリズムおける最大の謎の一つでしたから、
明らかになれば大騒ぎになることはわかっていたし、
インタビューなども山のようにくるだろう。
本も出るかもしれない。
フェルト氏は91才にしては、記憶が鮮明だという話しもある。
本が出たら売れる。
家族としてはそれが欲しいかもしれない。

世界の新聞における「調査報道」のきっかけになる事件だった。
そういう意味では大きな意義があったし、
実際にニクソン政権はこれがきっかけで倒れたから
社会的、政治的影響は大きかった。
そのニクソンは、ニューヨークでかなり前に息を引き取っている。

「ヒーローだったのか、裏切り者だったのか」
この議論は、おそらくフェルト氏がなくなったあとも続くのではないか。


        連邦捜査局(FBI)ナンバー2当時のマーク・フェルト
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      近影:左から、カール・バースタインとボブ・ウッドワード
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by leilan | 2005-06-02 17:10 | 浮世草子

フランス・EU憲法を国民投票で否決・・・ユーロに売り圧力


ユーロに対する売り圧力が徐々に強まっている。

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そりゃ、じわりともくる。
EUの柱の一カ国であるフランスがEU憲法を国民投票で否決したことは、
「EUの先行きはどうなるのか」という疑念に繋がるわけで。。。




今回の選挙を見て、にわかに思い出したのが昨年のインド総選挙だ。
バジパイ首相率いるインド与党がよもやの敗北を喫したことは
まことに衝撃的だった。
(とりわけ私は、インド株を保有していたのでギャフンときた!)

私だけでなく、世界のマスコミも、
そして予定された選挙を半年前倒しで実施したバジパイ自身にとっても
あれは予想外だったと思う。

その理由は何だったか。
ニューヨーク・タイムズの記事には実に端的な表現があった。

anger among millions of India's rural poor over being left out of the economic boom fostered by the current government

b0048657_22385154.jpgつまり、「貧者の怒り」だというのだ。
バジパイの読みは、今のインドはすさまじい経済成長の最中にあって、
国民の多くもそれを喜んでいる。
だから、今選挙をやった方が「次の5年」が保証される、と。

しかし、一人一票の選挙は文字が読める
都市の豊かな人間だけがやるわけではない。
インドには約3億前後(全体人口は約10億)の非常に貧しく、
文字も読めない人々が農村地帯にいる。

バジパイは彼らの「怒り」が読めなかった。



理念を掲げ、実際にメリットもないわけではない政権の政策。
対外的には説明のつく、理念ある政策だった。
国内にメリット(しばしば理念的な)を享受できる人も多かった。

しかしその政策の恩恵を被らない人々はいて、
その人々も一人一票の票を持っている。
インドの場合はそれが3億人の「成長に預かれない人々」だった。

「ヨーロッパが一つになる」という理想を掲げる
シラク政権の夢に賛同している人は国内にも多いと思う。
45%はいたということだ。

ヨーロッパの過去を考えると、
フランス、ドイツ、イギリスといった国の境目を
徐々に取り除いていった方が良い。
EU憲法は、その方向に向けての大きな前進でもある。

しかし、実際に暮らしているフランスの一般庶民にしてみると、
「EUが出来てから、何か良いことがあったかい・・」ということになる。
今はEUは東に向かって拡大しているが、
それだけでさえ安い労働力がEUという大きな市場に
投げ込まれる状況になっている。

それが今度は、未だフランスやドイツ国内で数多くの問題を抱えている
トルコ人の故郷であるトルコがEUに入る方向で進みつつある。

東ヨーロッパやトルコからの労働者と直接に、
そうでなくても間接的に競争状態に置かれている労働者にしてみれば、
「EUのメリット」は実感できないだろう。

実感できなければ、景況の良くないフランス経済の中にあって、
シラク現政権に対する不満は吹き出してくる。
インドもフランスも
「貧しいが、それでも一票を持つ民衆の反乱」という気がする。

このユーロが買えない雰囲気が、
ひいてはドル高に繋がっている。
ドルは対円でも強い。ドルには金利高というメリットがある。
市場とはそんなものです。
アメリカの双子の赤字への懸念は今は忘れられている。
しばらくはこのまま走るのだろう。

しかし、市場の関心は巡る。
ユーロの底はそれほど遠いものではないような気がする。

それにしても(子供もいるでしょうからそれは除外して)
「10億人以上の人口が一人一人一票を持った時の中国」
これを想像してみるのは、良い頭の体操になる。


■業務連絡ーLAのブランドンへ
 あなたの番組で、この話題を取り上げてみたらどぉ?
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by leilan | 2005-06-02 07:10 | 浮世草子

よくわかんないエナジー(Energy)

さっき、百合さんから電話が入った。

今度の新しいドクターは、
彼女が真性のうつ病であることを認めたと、
それは満足そうなのだ。
電話の向こうにいる彼女は、
b0048657_9554220.jpg「よくわかんないエナジー」に満ち溢れて、
うつ病というよりも、むしろ躁病のそれに近い。

分厚い「家庭の医学」を手元に置いて、
いつも病気探しをしている百合さんなのだ。
そういうときの彼女は、
どうも「よくわかんないエナジー」に満ち溢れている。
そして、自分のやる気のなさはうつ病ゆえ、
これが、ここ数年における彼女の重要テーマなのだ。


b0048657_9393828.gif高橋秀実著 『トラウマの国』という興味深い本がある。

日産自動車の社長に、ごぞんじカルロス・ゴーンが就任して以来、英語が社内の公式共通語となった話は、「よくわかんないエナジー」が横溢している。

ルノー社から日本へ赴任してきたのは部長クラスが40数名にすぎないのに、社内文書や会議など、ひとりでも非日本人がかかわる場面では英語を使わなければならない。


部署の長が外国人になれば、
オフィスでの新人紹介や宴会の司会まで英語である。
車の運転手さん、社内食堂のおばさんに至るまで、
突然、英語を使うなければならなくなる。
これでは、泳げないのにプールに突き落とされた感じだろう。

b0048657_9402370.jpg社員は一人残らず英語の試験を受けさせられ、
成績に応じてクラス分けが行われる。
部下の目が気になる管理職や年輩の社員は、
こっそりNOVAに駅前留学である。

なんか凄まじい話だ。
ルノー社から赴任してきた、たった40人のために、
全社員がそこまで英語を勉強する必要があるのか。
とにかくここにも「よくわかんないエナジー」が
充溢しているのだ。

セラピーに通ってトラウマを見つけて安心する人たち、
余裕のない生活で疲れている子供たち、
ゆとり教育と学力向上の狭間で喘ぐ子供たち、
資格試験に活路を見出そうとする人たち、
ユーモア学校に入ったのに余計に笑いを見失った人たち、
過激なセックス本に狂奔する女性たち、
ユートピアと信じて田舎暮らしを始めたがあてはずれの中高年、
ビジネス英語に精を出す人たち、
さっぱり機能してない地域通貨に引き回される人たち、
ドメスティックバイオレンスに悩む妻(夫)、
やわらか路線に変わった日本共産党、
自分史を書くために苦労する人たち、

こうした「よくわかんないエナジー」に満ちあふれた人々の話を読むと、
日本はやっぱり「トラウマの国」になってしまったのか、と思う。

これは余談だが、外からわが祖国を見つめていて、
「よくわかんないエナジー」の最たるものはゴミ出しだ。

実家に帰って、缶ビールを飲んでると、
ゴミ分別知識ゼロのおばちゃんを姪っ子が甲斐甲斐しくサポートしてくれる。
おばちゃんはゴミの分別に関して完全に浦島太郎状態なのだ。

家族全員、とにかくチビの甥っ子までがゴミを何種類にも分別している。
うちは親子三代同居で、今時は大家族の部類に入るから、
ゴミ出しもみんなで手分けしてやっているが、
単身者や、家族全員忙しく働いている人々にとって、
あの異常な分別、ゴミ出し指定日の煩雑さは大変なことだろう。
出張が断続的にあったりしたら1ヶ月も出せないゴミがでる。

しかし「よくわかんないエナジー」に燃えてせっせと分別しても、
日本のゴミの8割は焼却している。
じつに馬鹿らしい。
環境問題のためにという理想だけはしっかりしているが、
きれいごとだけではなく、事実をしっかり見ることも大切だ。

そしてリサイクルが行われ、それが環境を改善するなら、
結局のところ税金が減らなければならないし、
デポジット制が環境に良いなら、
それはペットボトルやビールの値段が下がるはずなのだ。

日本では「見えざる手」ではない環境運動が起った。
環境に関して理想を唱え、
「みんなで環境を守りましょう」という大合唱をする。

それがある程度行き渡った頃にリサイクルやゴミゼロという運動を始める。
運動をする多くの人は真面目だが、中枢は違う。
苦労して実施することでその見返りを求めるのが「見えざる手」である。

だから、企業や政府が行う環境とは環境そのものではなく、
その背景に「生産増」「雇用確保」が見え、
リサイクルがかえって資源の浪費を増やし、
ゴミを増やすことが判っても、その動きを止めることはできない。
リサイクルを止めるということは消費を縮小することであり、
それは企業や政府の意図とは異なる。

まったく、なんのために複雑な分別をやってんだか。
「よくわかんないエナジー」に翻弄される真面目な日本人を、
よくもまあ、うまいことくすぐったもんだと思う。

b0048657_941741.jpg

                ヤマトくん(童貞歴更新中)
                  
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by leilan | 2005-06-01 14:51 | 浮世草子

幸福格差


b0048657_12241696.jpg
毎日新聞のコラムをまとめ読みしていたら17日の「余禄」が、
国税庁が公表した2004年の高額納税者100人でトップとなったのは、
46歳の投資顧問会社の運用部長だったことにふれていた。

運用するファンドが高い利回りを実現したことによる成功報酬で、納税額約37億円、推定所得約100億円。
1位にサラリーマンがなったのは史上初なのだそうだ。

そこで余禄子は、高度経済成長このかた、サラリーマンは平凡の代名詞だったと、山口瞳の小説「江分利満氏の優雅な生活」を引き合いに出している。


この本が昭和37年度(1962年)の直木賞受賞作品だから、
「サラリーマンは気楽な稼業と来たもんだ」
に象徴される平凡な生活状態を優雅と考え、
それに満足してきたと言ってるわけだが・・。

しかし、これだって、
知らず知らず、人から押しつけられた幸せの絵図だ。

推定所得100億円のサラリーマン出現を、
余禄子のようにはもはや驚いていても仕方ない。
かつての資本主義が市場経済と呼ばれるようになって、
モノを作る人間よりも博打を打つ人間の方が、
要は、手っ取り早く金を稼げる時代になったということだ。

だからと言って、誰でも博打で勝てるわけではなし、
所詮、一か八かの世界なのだ。
ウォールストリートに行けば、こうした博打打ちはごまんといるが、
破れ綻びて、ビルから身を投げたりするのもいるのだ。
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幸福格差を数量ではかるというスタンスは、高度経済成長の時に日本の産業界が作り出した虚構だと思う。しかし、未だにその呪縛から逃れられない人は多い。というか、それをメディアが煽っている。

ルイ・ヴィトンを10個持つことがスティータスなおバカ(と私は思う)でも、他人と比較ばかりしていれば、結局いつになっても満たされることはない。

それにひきかえ他人は関係なく、自分が愛着を持っているモノが一つでもある人は無駄な買い物をあまりしない。

いろいろな人の家を訪れると、不思議なことに、あまり裕福でない家の方がモノが多い。

電化製品は最新のモノがそろっているし、
テレビも液晶で大型だったりする。

それに比べて、明らかに裕福な人が、
そんなに大きくないブラウン管のテレビで、
ビデオカメラも持っていなかったりする。

日本の消費はお金持ちによって成り立っているのではなく、
圧倒的多数を占める中間層の、
猛烈な買い換え需要によって成り立っているのではないか。

そして、そのメカニズムは、
他人から「幸福のかたち」を押しつけられて、
それに乗じてしまう心理にあるのではなかろうか。

b0048657_12374745.jpg例えば塾の問題にしても、いろいろ理由を付けているが、塾→高学歴→幸福 という他人に押しつけられた図式があるから、そんなに裕福でないのに、無理して子供を塾に通わせる。

自分自身の勤め人の経験から省みれば、高学歴な人が会社に入ってきても、仕事

において有能とはかぎらないということも痛切に感じた。

他人に取って変われない人材というのは、
その人がいることで、仕事の流れがいい方に変わったり、
雰囲気や環境がいい方に変わったりするような人だと思う。

そうした力は、学校の教師に問題を与えられ、
それを解いたり記憶する学習だけからは得られない。
どちらかと言えば、自分の置かれている状況を読んだり、
環境のなかに課題を見つけだす能力の方が重要になる。

親が子供のために交通整理をしてあげることに躍起になると、
学力はあっても仕事という生き物に対応できる人間が育つとはかぎらない。

それよりも、迷いの多い状況のなかに子供を放り出すことによって、
子供は自ら課題を見つけだし、
それを解いていく力を自然に身につけてゆくのではないかと思う。

そして、どんなに時代が変わろうとも、
子供が将来「幸福」になるために最も重要になってくるのは、
「逆境を乗りこえる強さ」ではないかとも思う。

「逆境に負けない子供」に育てることさえできれば、
どんな時代になろうとも、
それなりにたくましく生きていけるだろう。

生涯賃金を計算するところからはじめて、
子供の幸福を設定していくことだけはやめた方がいいだろう。

皿の数が多ければ食事の満足度が増すのではなく、
一つの素材からどれだけ味を引き出せるかということや、
それをどれだけ味わい尽くせるかということが、
「幸福格差」を決めていくように私は思う。

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by leilan | 2005-05-20 22:21 | 浮世草子

新手ネット詐欺・ファーミング(Pharming)


朝日新聞のこの記事、気になります。


 
   新手ネット詐欺ファーミング、米で増加 偽装サイト誘導

b0048657_10145422.jpg日本でも被害の出ているフィッシング詐欺が集中する米国で、巧妙な新手の手口が見られるようになった。インターネットで利用者が金融機関などのアドレスを正しく入力しても、偽装サイトに誘導される「ファーミング(pharming)」と呼ばれる手口で、ネットセキュリティー会社などが警戒を呼びかけている。

ファーミングは、IPアドレスとドメイン名を正しく対応させるための端末の設定ファイルをウイルスを使って書き換えたり、住所録に相当するサーバーに間違った情報を書き込んだりすることで、利用者を偽のサイトに誘導する。利用者の端末には正しいドメイン名が表示されているため、だまされていることに気づきにくい。

一般にフィッシングは金融機関などを装ったメールの「えさ」を個人に送りつけ、えさに食いつく利用者を偽サイトに誘導して個人情報を聞き出す。これに対しファーミングでは、正しいサイトに接続したと信じる分、利用者の警戒心が薄いと考えられ、犯罪者側からすれば個人情報をより容易に収穫できる。

フィッシング被害をまとめ、警戒を呼びかける「アンチ・フィッシング・ワーキング・グループ」によると、3月に同グループに報告されたフィッシングの偽サイトは2670で、このうち3割以上が米国にあるという。日本は中国、韓国、ドイツ、カナダに次いで6番目に多い。

   ◇    ◇

警察庁によると、「フィッシング詐欺」の被害は、昨年12月に初めて確認された1件。全国の警察に相談窓口「フィッシング110番」を設けたところ、3月末までに「フィッシング詐欺ではないか」など138件の情報が寄せられた。新手とされる「ファーミング詐欺」に関しては、今のところ相談や被害はないという。

フィッシング詐欺は、カード会社や銀行を装ってメールを送りつけ、巧みに作り上げた偽のサイトに接続させ、氏名やカード番号、パスワードなどを本人確認などと称して入力させ、盗み出す。この個人情報をもとにオンラインショッピングなどで商品を勝手に購入し、だまし取るというもの。

国内で確認された偽のサイトは、大手のクレジットカード会社やインターネット関連会社、機械メーカーなど十数種類あり、本物と見間違うほど巧妙に作り上げていた。


b0048657_10121085.jpgウィルスの一種なんだから、ノートンなどのアンタイ・ウィルスなんかを効かしておくと防げそうなんですが、どうなんでしょうか。これにやられると、「利用者の端末には正しいドメイン名が表示されているため、だまされていることに気づきにくい」とある。
なるほど。

それにしても、まあよくいろいろな手段が出てくる。

朝日は「正しいサイトに接続したと信じる分、利用者の警戒心が薄いと考えられ、犯罪者側からすれば個人情報をより容易に収穫できる」とも。

気いつけないといかんなぁ。
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by leilan | 2005-05-19 11:23 | 浮世草子


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