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『俳句』  忘れ得ぬ人

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    花嫁の荷に紅梅を一枝挿す


    降る雪やいま灯りたるバーの窓


    着ぶくれてわたしなんだかイースト菌


    美術館がらんどうわれ独り咳(しはぶ)く


    冬薔薇や煉瓦はすでに過去の色


    寒北斗夜々に傾き夜々に想ふ


    はちみつの秘密を舐める春隣


    本名に税ふりかかる牡丹雪


    北風や人恋ひ牛の長鳴ける


    拘置所のたった一つの冬日窓




■花嫁の荷に紅梅を一枝挿す

この光景は今でもよく憶えている。
叔母悦子が嫁いだのは昭和39年。
当時としては遅い結婚だった。

悦子叔母は小児麻痺の後遺症で足を引き摺る。
なかなか貰い手がなかったんだと思う。

その叔母がようやく嫁ぐことになった。

トラックの荷台にタンスや鏡台がつまれたき、
うちに昔からいたばあやが、
庭の紅梅を一枝、荷の紐にそっと挿したのだった。

梅の季節になると、
ばあやのことを思い出す。

ばあやが亡くなったとき、
父は喪主の挨拶で、
「観音さまのような人でした」
と語っていた。

確かに、ばあやが怒ったり、
きりきりしている姿を見たことがなかった。

縁の薄い人で、
夫も子供も早くに失い、
決して幸せな境涯ではなかったが、
慈母観音のような人であったと思う。
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by leilan | 2006-01-25 19:54 | 俳句

『秀句鑑賞』

 雪女郎おそろし父の恋恐ろし  中村草田男  


雪女郎は雪国の妖怪。
雪女、雪鬼などとも言うが、要するに雪の精霊だろう。
優しい面と怖い面の両面をもつが、それは雪というものの二面性だ。

草田男の句は、雪女郎の人を魅了する怖さを父の恋に重ねている。

雪女郎のような女に恋した父は、家族などを捨てて破滅へ深入りする。
それで、「おそろし」「恐ろし」と表現した。

仮名の「おそろし」には雪女郎の美などが、
漢字の「恐ろし」には破滅する父の定めが感じられる。

草田男という俳人はとても大胆だ。
掲句にしても、「おそろし」を2度も使う点が大胆。

それに、「おそろし」のような形容詞は俳句では禁句に属する。
作者の言い過ぎになって失敗しがちだから。
ところが、草田男は「おそろし」を繰り返す。なんとも大胆である。

数年前、父とふたりで飲んだとき、

「お父さん、もし、よそに子供がいたら、知らせておいてくださいね。
もしものことがあったとき、お父さんも逢いたいでしょ」

と訊ねたら、

「いや、子供はおまえたちだけだ」

ときっぱり言っていたが、
かつて、雪女郎はいたであろうと思う。

(雪女郎・冬)
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by leilan | 2006-01-25 19:35 | 秀句鑑賞

『俳句』  チャイナタウンは春節

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    寒造杜氏は今も褌一つ


    チャイナタウン春待つ新聞売は老い


    大焚火して水夫らを見送りぬ


    冬の雨饅頭熱き別れかな


    アイリッシュ・パブ出でて眩しき冬鴎


    をじさんの春のハーレー波止場まで


    頬骨や離れて匂ふ水仙花


    飾らねば雛(ひいな)が泣くと母の言ふ
    

    向かうところ敵なし鯨のふぐり


    赤ちゃんの生まるる星の冬木の芽




■六尺さんちのお嬢ちゃん、一人でよくがんばったね♪
  ここをクリック!

    
    次女ちゃんにもらひしいのち雪だるま



■ホリエモン逮捕

恐らく検察は、
ホリエモン的マネー・メーキング・システムが、
アンダーグラウンドと結びつくことを警戒したのでしょうね。

株式分割の良い面だけを食べてしまったので、
あとはダークサイドが働くわけだ。

その歪みがあとになって矯正できないほど膨らむことへの懸念。

ライブドア関係者が主張するような意図的な捜査方針は確かに感じられる。
それを彼等が言うように国策捜査と呼ぶかどうかは別として。

しかし、今回の捜査とライブドアの悪しき評判の慣行と、
どちらが日本の社会にとって望ましいかは言うまでもないこと。

それにしても、外国特派員協会でホリエモンが言った
「悪い人」とは一体誰だったのか。

エンロンのときもニューヨーク市場は当初ガタガタした。
しかし、ライブドアの実態経済における存在感はエンロンよりはるかに小さい。

もっとも、昨年後半の急騰をどう考えるかという課題は残っている。

プロ野球リーグ騒動のとき、
ナベツネだけは毅然とホリエモン批判をやっていたが、
こうした裏事情を知ってのことだったのか。

証券取引等監視委員会。
今は捜査に協力しているが、この機関の問題の一つは権限不足。
その上部の金融庁のそれも指摘されるべきだろう。
地検特捜部が乗り出す前に、
これらの機関が出来ることは多かったはずだ。
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by leilan | 2006-01-24 09:14 | 俳句

『秀句鑑賞』

 雪はげし抱かれて息のつまりしこと  橋本多佳子


美女の誉れたかい高貴の未亡人、橋本多佳子。
ゆくところ座はどこもが華やいだという。

明治32年、東京本郷に生まれる。
祖父は琴の山田流家元。父は役人。

大正6年、18歳で橋本豊次郎と結婚。
豊次郎は大阪船場の商家の次男で若くして渡米し、
土木建築学を学んで帰国、財を成した実業家。
ロマンチストで、芸術にも深い造詣があった。

結婚記念に大分農場(10万坪)を拓き経営。
9年、小倉市中原(北九州市小倉北区)に豊次郎設計の三階建て、
和洋折衷の西洋館「櫓山荘」を新築。
山荘は小倉の文化サロンとなり、中央から著名な文化人が多く訪れる。

理解ある夫との間、四人の娘に恵まれる。
まったく絵に描いたような幸せな暮らしぶり。
しかし突然である。

  月光にいのち死にゆくひとと寝る

病弱で寝込みがちだった豊次郎が急逝。享年50歳。
このとき、多佳子38歳。
葬後、ノイローゼによる心臓発作つづく。

掲句は、寡婦になって12年、多佳子50歳のときの作。

降り止まぬ雪を額にして、
疼く身体の奥から夫の激しい腕の力を蘇らせた。

物狂おしいまでの夫恋。
微塵たりも二心はない。
そうにちがいない。
だがしかしである。

ここに多佳子をモデルにした小説がある。
松本清張の「花衣」がそれだ。
主人公の悠紀女が多佳子。

 悠紀女は癌を患って病院で死んだ。
 その後になって、自分は悠紀女と親しかった人の話を聞いた。
 彼女には恋人がいたという。
 対手は京都のある大学の助教授だった。
 年は彼女より下だが、むろん、妻子がある。
 よく聞いてみると、その恋のはじまったあとあたりが、
 悠紀女の官能的な句が現れたころであった。

とするとこの夫恋の句をどう読んだらいいものやら。
多佳子が官能の句を詠みはじめたのは40代になってからだ。

まあ、しかし、
息のつまるほど抱かれたことがなければ、
こんな句は詠めるものではない。
「雪はげし」なんて季語に結びつけられないよ、普通は。

(雪はげし・冬)
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by leilan | 2006-01-24 09:01 | 秀句鑑賞

『俳句』  ワイキキは春の雨

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    雪降るとあらぬ方見てつぶやける


    ああ云へばかふ云ふ女シクラメン


    点滴の一つ一つの寒暮かな


    カーペンターズかけスキー板磨く


    厄落ちよ落ちよと跳びぬ辻の闇


    妃殿下うっとり冬帝ささやけば


    おでん煮てわたしが酒を飲む気配


    針穴に母の歳月冬ともし


    寒の水をんなののどをおちてゆく


    ワイキキにもう春風のたちつてと



■ホリエモン逮捕!

意外に早かった。
あっというまに逮捕でした。

米国産牛肉。
危ない危なくないという議論以前に、
アメリカの処理業者では危険部位が完全に取り除けないよ、
と思っていたらそのものずばりが輸入されて、
正直びっくり!

これをすぐさま輸入禁止にした小泉は立派。
これをネタに攻めるにはアメリカはたぶん全く文句が言えない。
ある種、日本にとって、これはチャンスだよ。

と私は思うのだけど、
そういうことを書いておられたのは finalvent さんくらい?

新聞によれば、当初農水省は、
今回のロットだけ破棄すれば問題ないと判断しており、
官邸から禁輸の指示がきて事の重大性にやっと気がついたというのだから、
日本の役所はほんとあてにならん。 

で、私はと申せば、
アメリカの牛肉は食べております(爆)


    
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by leilan | 2006-01-23 20:44 | 俳句

『秀句鑑賞』

 惚けし母連れて船見る冬鴎  吉田汀史


ボケた母を連れて船を見ている。
海上には冬の鴎が飛び回っている、という光景。

かつて、「東京だよ、おっかさん」という歌があった。
たしか、皇居の二重橋を見るのである。
母と二重橋を見るのも悪くはないが、
私はこの鴎の舞う海の船を見るほうが好き。好みに合う。

しかも、ボケた母を連れて、というところがよい。
船や鴎を見ていたら、「私」は母と、すなわちボケた母と、
ほとんど変わりがなくなるだろう。
吉田汀史はボケることを人間の自然として受け入れているに違いない。

ボケるとはあの世への通路を得ることかも知れない。
その通路からあの世の風がやってくる。
そして、その風はボケた人の心身を吹く。

(冬鴎・冬)
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by leilan | 2006-01-23 20:40 | 秀句鑑賞

『俳句』  女にも欲しふぐりかな

              憂鬱の世界を知らず犬ふぐり
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    一月のふぐりは肌荒れしてゐます


    二月には猫に嗅がれてゐるふぐり


    男なりふぐり三月逆上り


    四月来て冷しふぐりをはじめます


    風を浴び五月のふぐりなはははは


    しとしとと湿るふぐりも六月も


    七月のふぐりは浜でごろついて


    八月は八重に渦巻くふぐり雲


    ふぐり投げ九月事変が巻き起こる


    十月のふぐりフランス語で散りぬ


    ふぐりまた十一月を淋しがる


    十二月上目遣ひの聖ふぐり




無謀な試みでした。
ふぐりさまに完敗。

持っていないものを詠むのは難しいものです。
皮膚感覚でわからない。
おっぱいを詠むようにはいかないことを痛感。

個人的に好きなふぐりは、

    男なりふぐり三月逆上り

いじらしい。

    


        
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by leilan | 2006-01-22 10:06 | 俳句

『秀句鑑賞』

 サラリーマン寒いね東スポ大切に  清水哲男


「東スポ」は新聞の「東京スポーツ」。
吹きっさらしの駅のベンチで、
東スポで身を包むようにしているサラリーマンが目に浮かぶ。

スポーツ新聞の名が俳句になるのは珍しいが、
俗語や流行語をいちはやくとりこむのが俳句の伝統。
だから、この句はとても伝統的だ。

そして、「大切に」は反俳句的に大胆。
普通はこのような思いの直接的表現は俳句では避ける。

今回、この句を取り上げたのは、
六尺さんへのアドバイスもあってのことだ。

六尺旦那は、
「思いの直接的表現」をつい使ってしまう。
初心者にはよくあることなので、
目を瞑ってあげたいのだが・・・。

この句の「大切に」は、
反則をしたことで、逆に一方の伝統(東スポ)が生きた例。

(寒さ・冬)
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by leilan | 2006-01-22 10:04 | 秀句鑑賞

『俳句』  銀幕スタア

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    原節子吐息の色の寒牡丹


    よく廻る順にならべて兄の独楽


    寒灯を漏らしネバダの大鶏舎


    大鍋に青菜が泳ぐ春隣


    凍えたるピアノ叩きてまむし指


    けんちんの赤い人参白い大根


    寒の地震(なゐ)棚より落ちし創世記


    咳やまぬ檻のゴリラに見られけり


    男湯と女湯ありて冬の星


    志ん朝の話しなどして味噌雑炊



■米財務省、ハイブリッド車購入に優遇税制

米財務省は、ガソリンと電気を併用するハイブリッド車の購入者を対象に、最大3400ドル(約39万円)の税額控除を認めると発表した。

昨年8月に成立した包括エネルギー法に盛り込んだ優遇税制を実行に移すもので、ガソリン消費量の節約などを政策面で後押しする。

同省は優遇税制の申請手続きなどを公開。1日以降の購入者に税額控除の適用を開始する。ハイブリッド車の購入証明書をもとに、金額などに応じて控除額を決める。エネルギー自給率の向上を目指す包括エネルギー法は、燃料電池車や代替燃料車などの税額控除も盛り込んでいる。

財務省は近く申請手続きなどを公開し、優遇税制の適用を始めるとしている。


アメリカは二酸化炭素の排出では今や世界の鬼っ子。

財務省のハイブリッド車の税制上優遇は興味深い措置である。
なぜなら、今の世界でハイブリッド車を作れるのは、日本のメーカー中心。
GMやフォードなどの米車メーカーに対する警告のようにも見える。

おそらく日本車のシェアーが上がっても、
アメリカ政府は日本車を排斥するようなことはしないはずだ。


    

        
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by leilan | 2006-01-20 22:21 | 俳句

『俳句』  しんさんを思ふ夜

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    霜の夜猫のアヌスは薔薇色に


    靴先でものを考え日向ぼこ


    フィッシャーマンズワーフ鮪競らるる英語かな


    雪国を尋ねし葉書戻りくる


    赤いきつね緑のたぬきや女正月


    火葬場へ一本道の雪掻かれ


    ウエストのはちきれさうな鮪かな


    冬麗や鳥の目にある海の色


    丸焼のはりきってゐる藷を買ふ


    くさめして名取裕子の声である




■ついに死人が出てしまった

ライブドアの子会社、エイチ・エス証券の野口副社長、沖縄で自殺?

ライブドアの調達資金の窓口となっていたエイチ・エスは、
恐らくライブドア株を担保に資金を引っ張っていた。
おんどりゃーどうしてくれるんだ・・・
という危ない展開になったことは想像に難くない。

しんさんを思うとせつないのですが、
上場廃止は視野に入ったと思う。

理論的には突然紙切れということにはならないが、
上場廃止となれば取引が不可能になる。
そうなれば、少額の個人の株は相手にされないだろうし、
ゼロと等しい代物になる。

マネックス証券の判断はその意味で正しい。

アメリカのSECのように金融庁に逮捕権があれば、
ホリエモンはとっくに逮捕されていたのだろう。

しんさん、パスワードがなあ・・・。
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by leilan | 2006-01-19 19:58 | 俳句


バッカスの神さまに愛されたい
S M T W T F S
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