『俳句』  はらぺこスパゲッティ

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    大寒やウルトラマンが胸を病む


    読みさしのページにみかん雨催ひ


    ミスハワイ準ミスハワイ赤マント


    牡丹雪海あり見えぬ重たさよ


    立ちすくむほどの青空ゆりかもめ


    寒泳の重き乳房を抱へ出づ


    蝋梅や銀座で買ひし旅鞄


    寒雀きてゐるらしき縫ひいそぐ


    初手紙国を難ずること易し


    春を待つ薬罐の上にふきんのせ




■はらぺこスパゲッティ

うちの食卓には、
週一くらいのペースでスパゲッティが登場する。

トマトソースやミートソースは、
時間のあるときに作りおきして冷凍庫へ。
こうしておくと、ものの15分もあれば口の中に入る。
というわけで、はらぺこのときはスパゲッティ様様。

さっき帰宅して、
例によって、はらぺこスパゲッティを食べていたら、
ふと思い出した映画があった。
「マーサの幸せのレシピ」というドイツ映画。

ハンブルクにあるフランス料理店の女性シェフ、
マーサは独身で恋人もなく、お料理だけが生きがい。
その腕前には絶対的な自信を持っている。

お客さんが料理にケチをつけようものなら、
厨房から飛び出して客席まで文句を言いに行くほどだ。

ところが、ある日突然、姉が交通事故で死んでしまい、
姪っ子リナを引き取ることになったマーサ。
リナはなかなか心を開いてくれない。

加えて、マーサが休んでる間に、
知らないイタリア人のシェフが雇われている。

マーサの心はからからに乾いてしまう。

でもここから素敵なレシピがはじまるのだ。

リナとの心の距離がだんだんと近づくに連れ、
気に入らなかったイタリア人シェフにも心を許していくマーサ。

このイタリア人マリオがとってもいい人だ。
陽気で、周りを楽しませるのが得意。

母親を亡くしてものを食べなくなった少女リナの前、
マリオが「賄い」で自分用のスパゲッティをつくる。
ごく雑駁なスパゲッティで、大盛りになって湯気をたてている。

それを、ズルズルと音をたてて豪快に食べている途中、
ふと用事を思い出した思い入れとともに、
皿を少女に預けて一言。

「ちょっとくらいならいいけど、全部食うなよ、オレんだから」

もちろんリナはあんまりおいしそうだから一口すすって、
やめることができず、全部食べてしまう。

そしてふたたび子供らしく生きるきっかけをつかむという、
とっても素敵な場面。

いやあ、なんともうまそうなスパゲッティだった。


   くるくるとパスタさらって四月馬鹿


    
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# by leilan | 2006-01-26 14:17 | 俳句

『秀句鑑賞』

 寒星や出した手紙はまだポスト  内田美紗


夜のポストに手紙を投函し、その夜、
星を見上げて手紙を出した相手を思っている。
その相手への手紙はまだポストの中。

中学生のとき、
同級生の尚子ちゃんから電話がかかってきた。

恋文をポストに投函したものの、
文中に気になる箇所があって取り戻したい、
なんとかならないだろうか、と言うのだ。

え?
ポストから取り返したいの?

尚子ちゃんは翌朝ポストの前で集配を待った。

私は、担任の先生に嘘つく係り。
尚子さんは歯医者に寄ってから登校するそうです、なんて。

集配担当のおじさんがやってくる。
必死にお願いする尚子ちゃん。

いったん投函したものは返せないんだよね、
と、けんもほろろの郵便局おじさん。

ところが、このおじさんが融通無碍な御仁であった。

尚子ちゃんが差し出した生徒手帳をチェック。
恋文を探してくれたという。

彼女の恋は実らなかったが、
その相手は、いまや押しも押されぬ歌舞伎の花形役者になった。

(寒星・冬)
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# by leilan | 2006-01-26 14:14 | 秀句鑑賞

『俳句』  忘れ得ぬ人

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    花嫁の荷に紅梅を一枝挿す


    降る雪やいま灯りたるバーの窓


    着ぶくれてわたしなんだかイースト菌


    美術館がらんどうわれ独り咳(しはぶ)く


    冬薔薇や煉瓦はすでに過去の色


    寒北斗夜々に傾き夜々に想ふ


    はちみつの秘密を舐める春隣


    本名に税ふりかかる牡丹雪


    北風や人恋ひ牛の長鳴ける


    拘置所のたった一つの冬日窓




■花嫁の荷に紅梅を一枝挿す

この光景は今でもよく憶えている。
叔母悦子が嫁いだのは昭和39年。
当時としては遅い結婚だった。

悦子叔母は小児麻痺の後遺症で足を引き摺る。
なかなか貰い手がなかったんだと思う。

その叔母がようやく嫁ぐことになった。

トラックの荷台にタンスや鏡台がつまれたき、
うちに昔からいたばあやが、
庭の紅梅を一枝、荷の紐にそっと挿したのだった。

梅の季節になると、
ばあやのことを思い出す。

ばあやが亡くなったとき、
父は喪主の挨拶で、
「観音さまのような人でした」
と語っていた。

確かに、ばあやが怒ったり、
きりきりしている姿を見たことがなかった。

縁の薄い人で、
夫も子供も早くに失い、
決して幸せな境涯ではなかったが、
慈母観音のような人であったと思う。
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# by leilan | 2006-01-25 19:54 | 俳句

『秀句鑑賞』

 雪女郎おそろし父の恋恐ろし  中村草田男  


雪女郎は雪国の妖怪。
雪女、雪鬼などとも言うが、要するに雪の精霊だろう。
優しい面と怖い面の両面をもつが、それは雪というものの二面性だ。

草田男の句は、雪女郎の人を魅了する怖さを父の恋に重ねている。

雪女郎のような女に恋した父は、家族などを捨てて破滅へ深入りする。
それで、「おそろし」「恐ろし」と表現した。

仮名の「おそろし」には雪女郎の美などが、
漢字の「恐ろし」には破滅する父の定めが感じられる。

草田男という俳人はとても大胆だ。
掲句にしても、「おそろし」を2度も使う点が大胆。

それに、「おそろし」のような形容詞は俳句では禁句に属する。
作者の言い過ぎになって失敗しがちだから。
ところが、草田男は「おそろし」を繰り返す。なんとも大胆である。

数年前、父とふたりで飲んだとき、

「お父さん、もし、よそに子供がいたら、知らせておいてくださいね。
もしものことがあったとき、お父さんも逢いたいでしょ」

と訊ねたら、

「いや、子供はおまえたちだけだ」

ときっぱり言っていたが、
かつて、雪女郎はいたであろうと思う。

(雪女郎・冬)
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# by leilan | 2006-01-25 19:35 | 秀句鑑賞

『俳句』  チャイナタウンは春節

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    寒造杜氏は今も褌一つ


    チャイナタウン春待つ新聞売は老い


    大焚火して水夫らを見送りぬ


    冬の雨饅頭熱き別れかな


    アイリッシュ・パブ出でて眩しき冬鴎


    をじさんの春のハーレー波止場まで


    頬骨や離れて匂ふ水仙花


    飾らねば雛(ひいな)が泣くと母の言ふ
    

    向かうところ敵なし鯨のふぐり


    赤ちゃんの生まるる星の冬木の芽




■六尺さんちのお嬢ちゃん、一人でよくがんばったね♪
  ここをクリック!

    
    次女ちゃんにもらひしいのち雪だるま



■ホリエモン逮捕

恐らく検察は、
ホリエモン的マネー・メーキング・システムが、
アンダーグラウンドと結びつくことを警戒したのでしょうね。

株式分割の良い面だけを食べてしまったので、
あとはダークサイドが働くわけだ。

その歪みがあとになって矯正できないほど膨らむことへの懸念。

ライブドア関係者が主張するような意図的な捜査方針は確かに感じられる。
それを彼等が言うように国策捜査と呼ぶかどうかは別として。

しかし、今回の捜査とライブドアの悪しき評判の慣行と、
どちらが日本の社会にとって望ましいかは言うまでもないこと。

それにしても、外国特派員協会でホリエモンが言った
「悪い人」とは一体誰だったのか。

エンロンのときもニューヨーク市場は当初ガタガタした。
しかし、ライブドアの実態経済における存在感はエンロンよりはるかに小さい。

もっとも、昨年後半の急騰をどう考えるかという課題は残っている。

プロ野球リーグ騒動のとき、
ナベツネだけは毅然とホリエモン批判をやっていたが、
こうした裏事情を知ってのことだったのか。

証券取引等監視委員会。
今は捜査に協力しているが、この機関の問題の一つは権限不足。
その上部の金融庁のそれも指摘されるべきだろう。
地検特捜部が乗り出す前に、
これらの機関が出来ることは多かったはずだ。
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# by leilan | 2006-01-24 09:14 | 俳句

『秀句鑑賞』

 雪はげし抱かれて息のつまりしこと  橋本多佳子


美女の誉れたかい高貴の未亡人、橋本多佳子。
ゆくところ座はどこもが華やいだという。

明治32年、東京本郷に生まれる。
祖父は琴の山田流家元。父は役人。

大正6年、18歳で橋本豊次郎と結婚。
豊次郎は大阪船場の商家の次男で若くして渡米し、
土木建築学を学んで帰国、財を成した実業家。
ロマンチストで、芸術にも深い造詣があった。

結婚記念に大分農場(10万坪)を拓き経営。
9年、小倉市中原(北九州市小倉北区)に豊次郎設計の三階建て、
和洋折衷の西洋館「櫓山荘」を新築。
山荘は小倉の文化サロンとなり、中央から著名な文化人が多く訪れる。

理解ある夫との間、四人の娘に恵まれる。
まったく絵に描いたような幸せな暮らしぶり。
しかし突然である。

  月光にいのち死にゆくひとと寝る

病弱で寝込みがちだった豊次郎が急逝。享年50歳。
このとき、多佳子38歳。
葬後、ノイローゼによる心臓発作つづく。

掲句は、寡婦になって12年、多佳子50歳のときの作。

降り止まぬ雪を額にして、
疼く身体の奥から夫の激しい腕の力を蘇らせた。

物狂おしいまでの夫恋。
微塵たりも二心はない。
そうにちがいない。
だがしかしである。

ここに多佳子をモデルにした小説がある。
松本清張の「花衣」がそれだ。
主人公の悠紀女が多佳子。

 悠紀女は癌を患って病院で死んだ。
 その後になって、自分は悠紀女と親しかった人の話を聞いた。
 彼女には恋人がいたという。
 対手は京都のある大学の助教授だった。
 年は彼女より下だが、むろん、妻子がある。
 よく聞いてみると、その恋のはじまったあとあたりが、
 悠紀女の官能的な句が現れたころであった。

とするとこの夫恋の句をどう読んだらいいものやら。
多佳子が官能の句を詠みはじめたのは40代になってからだ。

まあ、しかし、
息のつまるほど抱かれたことがなければ、
こんな句は詠めるものではない。
「雪はげし」なんて季語に結びつけられないよ、普通は。

(雪はげし・冬)
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# by leilan | 2006-01-24 09:01 | 秀句鑑賞

『俳句』  ワイキキは春の雨

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    雪降るとあらぬ方見てつぶやける


    ああ云へばかふ云ふ女シクラメン


    点滴の一つ一つの寒暮かな


    カーペンターズかけスキー板磨く


    厄落ちよ落ちよと跳びぬ辻の闇


    妃殿下うっとり冬帝ささやけば


    おでん煮てわたしが酒を飲む気配


    針穴に母の歳月冬ともし


    寒の水をんなののどをおちてゆく


    ワイキキにもう春風のたちつてと



■ホリエモン逮捕!

意外に早かった。
あっというまに逮捕でした。

米国産牛肉。
危ない危なくないという議論以前に、
アメリカの処理業者では危険部位が完全に取り除けないよ、
と思っていたらそのものずばりが輸入されて、
正直びっくり!

これをすぐさま輸入禁止にした小泉は立派。
これをネタに攻めるにはアメリカはたぶん全く文句が言えない。
ある種、日本にとって、これはチャンスだよ。

と私は思うのだけど、
そういうことを書いておられたのは finalvent さんくらい?

新聞によれば、当初農水省は、
今回のロットだけ破棄すれば問題ないと判断しており、
官邸から禁輸の指示がきて事の重大性にやっと気がついたというのだから、
日本の役所はほんとあてにならん。 

で、私はと申せば、
アメリカの牛肉は食べております(爆)


    
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# by leilan | 2006-01-23 20:44 | 俳句


バッカスの神さまに愛されたい
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