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◇◆俳句  三島の忌グレコの枯葉聴ひてをり
 
  三島の忌グレコの枯葉聴ひてをり

  両国橋越えれば本所根深汁

  ゆふぐれの枯葉フランス語で散りぬ

  ラズベリーソース毒味し感謝祭


1970年11月25日のことは、記憶にある。

あの日は、生徒会役員選挙の演説会があって、
昼休みが終わって、全校生徒が講堂に集まっていた。
そのとき、生徒主任のA先生が、

「たったいま、三島由紀夫が市ヶ谷の自衛隊駐屯地にたてこもり、
 自決したというニュースが入ってきた」

と、重く沈痛な表情で語った。
中学生でもすでに一部の生徒は三島を読んでいたのだろう。
少し、どよめきがもれた。
わたしも潮騒と午後の曳航くらいは読んでいたので、ちょっと驚いた。

しかし、そのときわたしは生徒会長に立候補していて、
選挙演説を控えていたので、それどころではなかったのだが。

いまのわたしを知る人には生徒会長だなんて信じられませんでしょうが、
校則の改正を訴えた、リベラルの少女闘士といったところで、
マーガレット・サッチャーばりの演説なんダ、これが!
対立候補の優等生を破り、なんと当選しちゃったんだよねぇ。

それ見てうちのオヤヂが、
「5年早く生まれてたら、おまえはゲバ棒かついでた」
と、洩らしていたっけ。
ま、そういう時代だった。

同級生のひとみちゃんは、以後三島にかぶれて、
ひとみちゃんのお母さんがうちの母に、
「心配で心配で、先生のところに相談にいく」
と言っていたそうだが、事件後、
本屋の店頭には三島の本が何種類も平積みになっていた。

三島の著作物は、この奇矯な最期と切り離して読む努力をした。
三島に共鳴するしないは別にして、
年年歳歳、三島のすばらしさがわかるようになった。

でも、庭にアポロ像を置いたロココ調の白亜の家に住みたいとは思わない。  
by leilan | 2004-11-26 10:23
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バッカスの神さまに愛されたい

by leilan
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