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人民元切り上げを迫るアメリカ、その理由

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人民元の切り上げ問題に関して、
アメリカ連邦議会のプレッシュアーが強まっている。
これは来年の中間選挙を睨んだ動きでもあるのだが、
現在、対中国のアメリカ貿易赤字は1600億ドル。

この問題に比較的柔軟な姿勢だったスノー米財務長官が、
先月13日、米CNBCテレビのインタビューで、
対ドル相場事実上の固定に関して、
「人民元改革の時がやって来た。中国が動くことを切望している」と述べ、
直ちに変動幅を拡大するよう重ねて要請。

今週はFRBのグリーンスパン議長もアメリカの貿易赤字に触れ、
対中国貿易収支均衡の必要性を説いた

スノーの発言は、今週末の財務相会議を睨んだジャブであるし、
その先にはサミットがある。

これに対し中国は、
他の国から言われてやることではない、
という姿勢は一貫しているのだが、
貿易の最大輸出国であるアメリカを怒らせてはならない、
ということは十分判っていて、
人民元切り上げの必要性もまた認めている。

しかし、中国経済は、
日本やアメリカのような先進国型経済ではない。
中国政府が政治的に踏み切れない背景には、
人民元の切り上げが何千万という失業者を生む
労働人口プレッシュアーがある。

ところで、アメリカは盛んに、
中国との貿易収支が均衡すれば、
アメリカの抱える貿易赤字が解消されると言うが、
はたしてそうだろうか。

中国からの輸入は、例えば玩具などのような、
すでにアメリカが失った分野の産業である。
対中国の貿易収支が均衡したところで、
輸入代替はメキシコあたりに移動するだけのことだろう。
構造的になんら変わることはないのだ。

思うに、アメリカは10年、あるいは20年、30年先に、
アメリカの世界覇権に最も挑戦して来るのは
おそらく中国ではないかという読みがある。

それが中国に対する疑念となり、
人民元への声高な圧力となって今の騒動が起こっているのだろう。
貿易収支に引っ掛けた経済問題に見せかけて、
実は根の深い政治問題なのだと私は睨んでいる。
by leilan | 2005-06-11 07:10 | 浮世草子
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