冬星を弾丸となし未成年 高野ムツオ
最近、母が電車で経験したこと。
一番端の座席に母が座っていた。
その座席の手すりにお尻を乗せて、
母にのしかかるような形で立っている少女の一群。
しばらく我慢したのち、
もう少し気を使ってほしい、と注意した母に向かって、少女は一喝。
「テメエ、うるせーんだよ、ざけんじゃねーよ、
言いたいことあるんだったら最初から言えよ、このクソババア!」
娘の私と違って、母は穏やかな人だから、
やんわりと注意したことだろう。
いたたまれなくなった母は、電車を降りようと席を立った。
すると、彼女たちは爆笑。
そして、「このババア、めちゃくちゃ腹立つー」
「でも、まあいいじゃん、話のネタがひとつできたと思えば」。
二十一世紀、未成年の弾丸は、地球を滅ぼしてしまいそうだ。
(冬星・冬)