柔かき海の半球クリスマス 三橋敏雄
よく「俳句は自然を詠むものだ」というが、
街に流れるクリスマスソングを聴いて歳末を実感し、
テレビで『行く年来る年』を見て正月を実感する現代の日本人に、
大自然もへったくれもあったもんじゃない。
クリスマスソングや『行く年来る年』が、
わたしたちの体感する「自然」になっているのだろう。
というわけで、キリスト教と無縁な人々にとっては、
街角に並ぶケーキ売りを見て「クリスマス・イブ」を感じる日本。
今年は土曜日だから、街には主に男女のペアがあふれるのだろう。
目を転じてみると、地球規模でもクリスマスは祝祭日。
常に光と闇が半分ずつ存在するこの星。
聖なるものと俗なるものは常に表裏一体だ。
そのことを考えるのにいかにもふさわしい日なのかもしれない。
(クリスマス・冬)